オランダのビール大手ハイネケンの新CMが人種差別的だと批判を受け、同社はテレビとYouTubeの放送を中止した。
同社の商品「ハイネケン・ライト」の新CMでは、バーテンダーがカウンターでボトルを滑らせると、黒人の女性や男性ギタリストを通り過ぎ、オチとして肌の色が浅い女性の前に届く。画面上には、「時には、ライトな方がいい」というキャッチコピーが現れる。
ハイネケンの広報担当は雑誌「Newsweek」に、「この(「時には、ライトな方がいい」という)広告は、『ハイネケン・ライト・ビール』の商品名について表現したものだと私たちは考えていましたが、的外れでした。反響を真摯に受け止め、今後の広告に活かしてまいります」と述べた。
■チャンス・ザ・ラッパー「いろんな奴らを釣ろうとしているんだ」
この動画については、ヒップホップアーティストのチャンス・ザ・ラッパーがTwitter上で、「とんでもなく人種差別的だ」と批判していた。
チャンス・ザ・ラッパーは3月25日、TwitterでこのCMについて注意するよう呼びかけた。
企業の中には、明らかに人種差別的な広告をわざと出して、視聴数を稼ごうするところがあると思う。めちゃくちゃ人種差別的だし、インチキだ。その広告について投稿することで、視聴数を伸ばす手助けはすべきじゃないと思っている。それでも、言わなくちゃいけない。「時にはライトな方がいい」というハイネケンのCMは、とんでもなく人種差別的だ。なんてこった。
チャンス・ザ・ラッパーは不買運動を呼びかけているのではないとしつつ、「こういうことがしょっちゅう起きているのを知らせたいだけなんだ」とツイートした。
俺は不買運動しろとか、炎上させろと言っているんじゃない。ただ、こういうことがしょっちゅう起きているのを知らせたいだけなんだ。彼らは、消費者、Twitterユーザー、そしていろんな奴らを釣ろうとしているんだと思う。こんなことをツイートするのはとても嫌だ。でも、やらなきゃいけないだろ。
彼の発言には批判も出た。「拡大解釈ではないか」というのだ。
チャンス・ザ・ラッパーは26日、そうした意見に反論した。
完全に的外れだ。多くの広告代理店が、意図的に、俺たちが大騒ぎしてツイートすることを狙っているんだ。そして、炎上を取り上げた記事が書かれ、ツイートされる。俺たちはブランド名に50回も言及する。最初に言ったのはそのことだよ。この記事は、その点に触れてない。
■かつては多様性を尊重する広告を制作していたが...
ハイネケン社は、多様性を尊重するマーケティングをしていたことで知られていた。
2017年、ハイネケン社は価値観の異なる人たち同士がビールを飲んで語り合いながら、共通点を探っていくという動画を制作した。
この動画は、イギリスでの「ワールド・アパート(別世界)」と名付けられた広告キャンペーンの一環として発表された。同社は、この動画は演出ではないと言っている。
ハフポストUS版より翻訳、編集しました。