学校法人「森友学園」(大阪市)に対する国有地売却問題で、野党の衆院議員3人が3月23日、同市都島区の大阪拘置所を訪れ、学園前理事長の籠池泰典被告(65)=詐欺罪などで起訴=と接見した。
安倍晋三首相の昭恵夫人が国有地に小学校を建設する計画を聞かされた際、「いい土地ですから、前に進めて下さい」と発言したとされることについて、籠池被告は「間違いない」と話したという。
この発言は、財務省が決裁文書を改ざんした際に削除されており、一連の取引をめぐって昭恵夫人が影響力を発揮したとの疑惑が持たれている。
この日接見したのは、希望の党の今井雅人、共産党の宮本岳志、立憲民主党の川内博史の3議員。接見は45分間に及んだという。
3議員が接見後、記者団に明かした内容は次の通り(名前は敬称略)。
今井)書き換え前の決裁文書に書いてあったことを聞きました。安倍総理たちが否定しているような話をいろいろうかがいました。例えば、「いい土地だから前に進めてください」ってのが決裁書にありましたけども、そういう話はありましたかっていう話の中で、確かにそうおっしゃってた、と。それは間違いないとおっしゃってました。
棟上げ式の時の話も、具体的に日にちまで詰めるところまではいってなかったんですが、「棟上げ式には必ず行きますからね」というような話は安倍昭恵さんからいただいたという話をされていました。
安倍昭恵さんのことを色々おうかがいしましたけども、貸付けのときも含めて、逐一安倍昭恵さんには、毎回じゃないんですけど、まとめてこういう状況になってますということを報告をしていたということをおっしゃっておられました。
籠池さんのおっしゃっていることが事実だとすれば、安倍昭恵さんには取引のことはずっと報告が行っていて、ご存知じゃないかということを感じました。
宮本)谷査恵子さんの名前も出ましたので、私たちとしては今日の話をおうかがいして、谷査恵子さんからも話を聞かなければわからないことがあると判断しました。もちろん、安倍昭恵さんの国会招致は絶対必要だと。
今井)3人とも話をした印象はやはり、安倍昭恵さんはかなり、この取引のことはご存知だったんじゃないかなと印象を受けました。
籠池さんのおっしゃっていることがどれだけ事実かは我々はわからないわけですから、それも含めて、安倍昭恵夫人に話をやっぱり聞かなきゃいけないなと。
夫人付であった谷さんは、安倍昭恵さんに頼まれて色々やってるんでしょうと。その都度色々報告してるってことですから、谷さんもやっぱり安倍昭恵さんと一体ですので。
田村室長と色々話をされていたということですから、そこもかなり密接に連絡をしていたんじゃないかなと気がしますので、谷さんも含めて色々話をきかないといけないなと。
―ファックスの件以外にもやり取りがあったということ?
今井)ファックス以外のところでも、具体的に何か依頼をしたってことではないと思いますけど、逐一報告をする中で、お話はしてるってことだったと思います。
―土地売却の価格交渉はゴミがないことはわかっていたとか、すり合わせはあったとか話は出ましたか?
今井)その辺は弁護士がやってらっしゃったという話だったと思います。
―長期勾留ですが、健康状態は?
今井)なんとか自分で管理しながら健康を維持してますということで、顔色も良くて、お元気そうでした。
―文書の改ざん問題については言及していましたか?
今井)まったく知らないというか、逆にびっくりしたと。
―長期勾留についてはどのようにお感じになられていた?
今井)籠池さん本人はうかがわなかったですけど、ただ、我々としてはここまで長期勾留になっているだけの理由はちゃんとあるんだろうかと。正直ずっと疑問に感じる。
証拠隠滅とかどこかに逃亡するとか、そういう感じは全く見受けられない印象ですので、ここまでどうして長期の勾留になってるのかという疑問を感じた。
―保釈を求める活動も考えてらっしゃる?
今井)ま、今はちょっとそれは考えておりません。そういう必要があれば、検討することもあるかもしれない。
―決裁前の政治家の関与については?
今井)今日はそこについては詳しくはうかがってないですね。どちらかというと、安倍夫人とのやり取りについて聞いたので。
―谷さんが財務省に照会したことで値引きはされたということについては?
今井)当然、近畿財務局の人も理財局の人も、籠池さんが安倍夫人と強い関係にあるというか、そういうことは承知の上で色々やっていただいたんじゃないかなということはおっしゃっていました。
―照会の影響については?
今井)それも含めて、全体的に籠池氏の後ろには昭恵夫人がいるということを役所の側は認識していたということをおっしゃっていました。
―接見時間は何分でしたか?
今井)30分です。
―最初15分と聞いていたんですが。
宮本)いや、45分間でした。
今井)ご配慮いただいて、5時までってことでしたので。
宮本)4時15分ごろ入りましたけども、冒頭、拘置所の側から30分は取りましたからと。しかし、5時までは守ってくださいねと。そうすると45分間ということですけども。5時まで、一切口を挟むことなく、ずっと話を聞いていました。
―最初は15分で想定して質問考えていたと思いますが。
今井)色んな話をうかがうことができました。
―明らかに安倍さん嘘ついてるということありましたか?
今井)明らかに嘘ついているってのは、籠池さんが言っていることが全部事実かってのがわからないので、言っていることが事実だとすれば...
宮本)そりゃ、あれですよね。「これはいい土地ですから進めて下さい」と。決裁文書の改ざん前に書いてた、あの言葉は間違いなく述べた、と。
今井)それもありますし、貸付けのときからずっと取引をするにあたって、都度都度谷さんなり、安倍昭恵さんにお伝えしてたとおっしゃってますので、だとすれば、まったくそんなことは知らないというのは、安倍総理が言うことは間違いということになるでしょうね。
―谷さんから、財務省から打ち返しがあったという報告は籠池さんに来ていた?
今井)どの取引について?
―谷さんが財務省にファックスを入れてますよね。それに打ち返しがありますよね。それについて籠池さんは谷さんから聞かされたりしていましたか?
今井)それは聞かされていたと思いますよ。その話も今日しましたが、それは以前からわかっていた事実じゃないでしょうか。
―1年前の証人喚問で出てこなかった新たな証言はあった?
今井)多少違うことはあったかもしれませんが、それはまた、証人喚問なり、委員会の場で話をしていきたい。
―27日の証人喚問に向けてつながるようなことは?
宮本)それは証人喚問をお楽しみにしていただければ。私たちもそのための接見をしたわけですから。
今井)収穫はあったし、流れですね。こんな感じで取引が進んでいったんじゃないかというイメージはつくることができた。それを生かしてやりたい。
―攻め手のポイントは?
今井)佐川さんの場合は、一つは改ざんの経緯が焦点ですから、それはあまり籠池さんとは関係のない話。もう一つはやはり、安倍夫人との関係。取引に安倍夫人がどういうふうに関係しているのか。そのへんは一つの争点。
―昭恵夫人が「いい土地だから進めてくれ」と言ったのは、籠池さんは間違いないと。籠池さんはそれを言われた状況、いつ言われたとか話しましたか?
宮本)もちろん。4月の25日に現地にお連れをして、並んで写真を撮ったと。それも事実だと。そこで「いい土地ですから進めてください」と。
今井)1年前の証人喚問のときは、「いい田んぼになりそうですね」みたいな、っておっしゃってましたけど、それは両方言われているってことです。話の流れの中で、「いい田んぼになりそうですね」って昭恵さんが言ったら、「いやいや、ここは学校を作る予定地ですから」って籠池さんが言うと、昭恵さんは「いい土地ですね。それも前に進めて下さい」って。そういうふうな流れの会話だっておっしゃってました。
―棟上げ式は招待状を送った?
今井)口頭でお伝えして、正式に招待状を送る準備をしていたらしいが、結局送ってないっておっしゃってました。
―昭恵さんと谷さんとは電話でやり取りをしていた?
今井)電話が多いって言ってたよね。籠池さん本人がメインだとおっしゃってました。
―その中で、昭恵さんの方から助けるという話があったんでしょうか?
直接的な言及はあまりなかったとおっしゃってました。
―今まで世の中に出てないもので、メールやファックス、録音データで持っているという話は出ました?
今井)その辺はまた質疑の場で。
―今日は先生方3人と4人でその場にいた?
今井)もう一人拘置所の方がいました。
―どのような服装?
宮本)水色のような服装。
今井)なんか、健康診断受けるときに着るようなもの。
宮本)上半身しかわかりませんからね。
―「いい土地ですから」発言は、籠池さん、かなり自信を持っているようでしたか?
今井)もう、ありましたよって。間違いなく言ってました、と。
宮本)そりゃもう「間違いない」って、言ってた。
―今日の面会で、籠池さんはこの昭恵さんの発言を受けて、建設を進めていこうと思ったとか言っていましたか?
今井)そういうことでしょうね。そのときに写真を見せたって言ってました。
―写真を見せたことで対応が変わったと?
宮本)それは4月28日のことですよ。「いい土地ですから進めて下さい」って言ったのは、豊中の現地の4月25日のことですから。写真を提示したのは4月28日のことですから。
今井)まあ、だから写真も撮って、あとで見せたっていうことです。
―写真の影響力は大きかったと?
今井)うーん、だからそういうことは財務省の方たちはご存知だったと思いますと、おしゃってましたね。
―酒井弁護士のことはおっしゃってましたか?
今井)色々おっしゃってました。
―雲隠れを勧めた理由、安倍総理の翌日に雲隠れ...
今井)ああ、その辺も色々とうかがいましたけど、それはまた質疑のところで。
―財務省で自殺者が出たことについて何か言っていましたか?
今井)いや、その話はしていません。
―改ざんについては驚いたということについては何か?
今井)いえ、それだけです。
宮本)改ざんについてはもうご存知でした。ラジオとかで。だからご存知という前提で話を聞きました。
―長期勾留について何かご不満は?
今井)それはご自分はおっしゃっておられませんでした。どちらかというと、我々が疑問に感じてるなと。
―証人喚問に備えて、この場でおっしゃってくれていること以外の、「隠し玉」というか、今言っていないこともあるという理解でよろしいでしょうか。
今井)それはあります。
宮本)ふふふ。
―今日の接見を踏まえて、証人喚問はどのような姿勢で臨みたいですか。
今井)安倍夫人が本当にこの一連の取引に関わっていないんだろうかということを明らかにする必要があるだろうということですね。
―安倍総理に対しては何かおっしゃっていなかったですか?だまされたとか?
今井)それは以前おっしゃっていたことを言っておられましたよ。2月23日にしつこいやつだみたいな発言があって、あのとき本当にびっくりしてショックだったという話をされていました。
―大阪府の松井知事のことは?
今井)それは聞いてません。
―ファックス以外に谷さんの働きかけはあったとかいう話はありましたか?
今井)まあ、その辺はまたいずれ。
―月曜日にまた野党の接見がありますが、彼らに託したい質問はありますか?
宮本)我々は今日も全員集まった会議をやっていますから、今日聞いたことは彼女らに伝えてそれを引き継いでやるという連携プレーになっております。
―話の中で一番印象的だったことは?
今井)何でしょうね。言葉は印象的なことはなかったですが、わりと淡々としておられましたね。
宮本)まあでもやっぱり、焦点となっている文書の改ざん前の、「進めて下さい」ってのは、間違いなく事実だと語っていたのは、今日の一番大きな発言だった。
―長期勾留は安倍政権の口封じだとかは言ってませんでしたか?
今井)言ってません。
―籠池さんに対する改めての出張尋問などの必要性についてはどう思うか。
今井)それは佐川さんなり関係者の話をぜひ国会でしていただいて、必要であれば籠池さんにも事実関係を確認する必要があると思います。
宮本)今日の印象では充分、やっていただける印象でした。口調もはきはきしておられましたし。淀むことなく語られましたから。籠池さんは引き続き、自らの思いを語る姿勢を持ち続けていますと実感いたしました。
―昭恵さんの「前に進めて下さい」という発言を裏付けるものは?
宮本)決裁文書ですよ。
―それ以外には?
今井)まあ、そこで話していたことですから、それに証拠があるかって言われたら、そりゃ録音でもしてれば別ですけど。普通はないですよね。
宮本)まあ、並んで写った写真はありますよね。
―繰り返しになりますが、今日の接見の最大の成果は何だったですか?
今井)私はやはり、安倍昭恵さんがこの取引についてはよくご存知だったと。間違いなく関与してたんじゃないかと。そのことがわかったということが一番ですね。
―谷さんはどうですか?
今井)谷さんは安倍夫人と一体ですから。
―谷さんの上司が今井秘書官だという話はしていましたか?
今井)してません。
―谷さんと昭恵さん以外の名前は出ましたか?
今井)出てきていないですね。そういう聞き方してないですから。
―今日の接見を受けて、予算委員会と証人喚問で何か進展が出てきそうですか?
今井)まあ、それはやってみないとわからないんですけど、佐川さんもどれぐらいの姿勢でお話していただけるか。
真実を詳らかにお話していただけると期待しているんですけど、訴追の可能性があるんでってことで答えていただけないと、何も進まないということになってしまいますから。そういうことがよもやないことを願っています。