学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却をめぐる問題で、大阪拘置所に勾留されている前理事長の籠池泰典被告(65)=詐欺罪で起訴=と野党の衆院議員らが3月23日に接見することになった。共同通信などが伝えた。
学園への国有地売却をめぐっては、財務省作成の複数の決裁文書で改ざんが発覚。籠池氏逮捕で一つの節目を迎えていたこの問題が再び注目を集めている。
野党側は改ざんによって名前の記載が削除された政治家や安倍晋三首相の妻昭恵氏が、売却に関与したのかについて籠池氏に確認するとみられる。
共同通信によると、接見は23日午後4時ごろから約15分間。時事ドットコムによると、この日は立憲民主党の川内博史、希望の党の今井雅人、共産党の宮本岳志の3衆院議員が接見し、26日には民進、自由、社民各党の参院議員が面会するという。
27日には改ざんのキーマンとされる佐川宣寿・前国税庁長官が衆参両院の予算委員会で証人喚問される予定。その前に接見が実現することで、野党側にとっては佐川氏に突きつける「材料」を手にする形になる。
NHKニュースによると、学園への国有地売却をめぐり、財務省の決裁文書が改ざんされていた問題で、野党6党は真相解明に必要だとして、大阪地裁に籠池被告との面会を申請。22日になって地裁側から認める連絡があったという。
籠池氏は、国から売却を受けた土地に小学校の建設を計画。その際、国の補助金をだまし取ったとして2017年7月、妻とともに大阪地検特捜部に逮捕された。8月には学園が運営する幼稚園に交付された府の補助金をだまし取った容疑でも再逮捕。いずれも大阪地裁に起訴されたが、勾留は現在も続いている。
籠池氏の長期勾留と、議員らによる接見の見通しについて、専門家はどう見るのか。検察官から弁護士に転身し、多くの刑事弁護を手がける亀井正貴弁護士(大阪弁護士会所属)は「籠池被告が関係者に対し、自身に有利になる供述をさせたり、証拠隠滅をさせたりする可能性を裁判所が懸念し、少なくとも公判前整理手続きで争点が明確になるか、公判が始まって主な証拠が法廷に出るまでは保釈は難しいのでは」と指摘する。
また、「被害額は1億円を超えており、有罪となれば長期の実刑も予想される。そのため、弁護人は慎重に弁護活動を進めるでしょうから、自ずと公判前整理手続きも長くなる。そうなると勾留も長期化するのはやむを得ないでしょう」とも話す。
一方で、今回、衆院議員の接見については「事案の性質上、籠池被告は弁護人以外の接見は禁止されていたはず。それでも裁判所が衆院議員との面会を認めたということは、議員が聞こうとしていることが、すでに起訴された内容とは直接関係なく、面会によって被告が逃亡したり、証拠が隠滅されたりする可能性が増えるわけではないとの判断が働いたと思います。それに国政に関する重要なことを聞くのであれば、面会も必要だと考えたのでしょう」と話した。