「プーチンはもう飽きた」 ソーシャルメディアにあふれる不満の声 不正投票も相次ぐ

候補者の欄にイーロン・マスクらの名前を勝手に追加する人も
支持者の前でロシア大統領選の勝利宣言をするプーチン氏=3月18日、モスクワ
支持者の前でロシア大統領選の勝利宣言をするプーチン氏=3月18日、モスクワ
POOL New / Reuters

3月18日に投開票されたロシア大統領選は現職のプーチン氏が7割を超す得票率で圧勝した。だが、ソーシャルメディア上にはプーチン氏への反発の声があふれる。

「プーチンはもう飽きた」。18日、そんな意味を表すロシア語「#путиннадоел」がTwitter上に多数投稿された。

中には、「プーチンは、戦争、強盗、極貧、うそ」や「プーチンはもうたくさん。クリミア、ウクライナ」「プーチンは飽きた。出口がない。腐敗」などと投票用紙一面に書きなぐられた写真が添付された投稿があった。

投票用紙には全候補者名が印刷されている。投票先はチェックマークで示す決まりになっているが、プーチン氏の名前をアメリカの実業家でテスラやスペースXのCEOを務めるイーロン・マスク氏や、アメリカの人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の登場人物デナーリス・ターガリエンの名前が印刷された紙を上から貼り付けてチェックを入れた投票用紙を撮影、投稿する人もいた。

反政権の姿勢で若者に人気があるブロガー、アレクセイ・ナバリヌィ氏(41)の名前を投票用紙に書き込む人もいた。

ナバリヌィ氏は2017年、横領事件での有罪が確定したことから、法律の規定で大統領選への立候補が認められなかった。だが、ロシアでは、ナバリヌィ氏を立候補させないため、当局が事件をでっち上げたとの声が根強い。

一方、Twitterなどには、不正投票の「証拠」とされる動画が投稿された。モスクワ郊外の都市リュベルツィにある投票所では、その地区の選管トップらが投票終了後、投票箱に投票用紙を大量に投入。それが監視カメラに映っていた。

また、ロシア南部のカバルディンカ村では、男性有権者が上着の内側に隠し持っていた大量の投票用紙を巧妙に投票箱に入れる様子が監視カメラに映っていた。

ロシアでは全投票所に監視用のウェブカメラが設置されている。2011年の下院選で、プーチン大統領の与党「統一ロシア」が得票の水増しをしたとの指摘が相次いだことから、プーチン氏が導入に踏み切った。

プーチン大統領は通算4選となり、首相時代も含めれば四半世紀もロシアの最高権力者の座に居座ることになる。長期政権がもたらす腐敗と社会・経済改革の停滞に対する不満はくすぶっている。

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