将棋の藤井聡太五段(15)と広瀬章人八段(31)が2月17日、第11回「朝日杯将棋オープン戦」(朝日新聞社主催)の決勝で対局し、藤井五段が117手で勝利した。会場からは、割れんばかりの拍手が起こった。
これにより、藤井五段は一般棋戦優勝の史上最年少記録(15歳6カ月)を打ち立てた。これまでの一般棋戦の最年少優勝記録は加藤一二三九段の「15歳10カ月」だった。
また、昇段規定(五段昇段後、全棋士参加棋戦で優勝)を満たしたことで、史上最年少で六段昇段を果たした。2月1日の五段昇段から、わずか16日だった。
藤井五段は午前中、準決勝で羽生善治竜王と対戦。羽生竜王との公式戦初対局を白星で飾った。
準決勝でも決勝戦でも、藤井五段はカフェオレのようなペットボトル飲料を持参。朝日新聞社が会場で提供する解説によると、藤井五段による「手づくりのミルクコーヒー」だという。
羽生竜王との準決勝では、初手を指す前にグっとペットボトルを手に持ち口に含んだ。その瞬間、藤井五段の目はジロリと前を真っ直ぐに見つめた。その顔は、まさしく勝負師のものだった。
決勝の戦局は「角換わり」の最新形でスタート。羽生善治竜王が「これまで見たことがない」と評するほど、珍しい新しい戦型だった。
対局後の大盤解説で、藤井五段は「全棋士参加棋戦で優勝という大きな結果を残せたことは自信になった」「まだまだ足りないところが多いが、こうして優勝できたことを励みにさらに進んでいきたいです。(六段昇段は)自分でも思ってもいなかったので驚いている。望外の喜びです」と話した。
■中学生棋士の六段昇段記録
1藤井聡太 (15歳6カ月)
2加藤一二三(16歳3カ月)
3谷川浩司 (17歳11カ月)
4羽生善治 (19歳0カ月)
5渡辺明 (20歳5カ月)
■一般棋戦優勝年少棋士ベスト10
1藤井聡太 第11回朝日杯オープン戦 15歳6カ月
2加藤一二三 第1回六・五・四段戦(※)15歳10カ月
3谷川浩司 第2回若獅子戦(※)16歳10カ月
4羽生善治 第10回若獅子戦(※)16歳11カ月
5森内俊之 第18回新人王戦 17歳0カ月
6加藤一二三 第1回東京新聞杯争奪戦(※)17歳0カ月
7羽生善治 第3回天王戦(※)17歳2カ月
8谷川浩司 第6回名棋戦(※)17歳7カ月
9森内俊之 第7回早指し新鋭戦(※) 17歳8カ月
10糸谷哲郎 第37回新人王戦 18歳0カ月
【※:終了棋戦】