アメリカのプロ野球チーム「クリーブランド・インディアンス」(本拠地・オハイオ州クリーブランド)が1月29日、2019年シーズンから先住民族であるネイティブアメリカンをモチーフにした球団ロゴの使用をやめると発表した。
ロゴは「ワフー酋長」と呼ばれる漫画風のキャラクターで、長年親しまれてきた。球団はチャーリー・シーンさんや石橋貴明さんらが出演した映画「メジャーリーグ」にも登場し、ロゴも含めて日本でも馴染み深い。
一方で、ロゴは真っ赤な顔や鷲鼻、垂れ目などがネイティブアメリカンに対する「お仕着せ」のイメージで描かれ、人種差別にあたると長年に渡って抗議を受けていた。
球団公式サイトによると、ロゴは2018年シーズンが終了後、使うのをやめるという。ロゴに対する反発の強まりを受けて、球団が、所属するメジャーリーグベースボール(MLB)と協議し、決定したという。
MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーは「メジャーリーグベースボールは試合を通じ、文化の多様性と一体性を進めてきた」と意義を強調した。
マンフレッド氏はまた、ロゴがファンに長年親しまれてきたことを認めながらも、「それでもなお、ロゴはもはやメジャーリーグの球場で使うのはふさわしくないとの私の考えに球団側が同意してくれた」と明かした。
新しいロゴを作成する予定はなく、クリーブランドの頭文字「C」から作ったすでにある別のマークをロゴとして使うという。球団名の変更もしない。
ロゴの変更について、ネイティブアメリカンの団体からは賛否の声が上がった。アメリカの公共ラジオ局「ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)」によると、ネイティブアメリカン団体のメンバーで、ロゴ廃止運動に携わってきたレイ・ハルブリッターさんは「あのロゴによってネイティブアメリカンが侮辱されることはふさわしいことではないと、球団は正しく認識した。地域に根ざしたスポーツチームが先住民をリスペクトするよう、草の根運動が圧力をかけた結果であり、今回の決定はそれを反映している」と歓迎した。
一方、法的措置も含めて40年以上もロゴの廃止を訴えてきた別のネイティブアメリカン団体の活動家は「ファンはそれでもワフー酋長のロゴが入ったユニフォームを着て球場に行くだろうし、赤ら顔のメイクもするだろう」と懐疑的な見方を示した。