空から無数に落ちてくるパラシュート。一体これは何だ?
場所は内戦が続くアフリカの南スーダン。自衛隊もPKO活動のために派遣されていたが、治安情勢が悪化を辿る中で5月に撤退している。
まさか爆弾......?いや、そうではない。
■パラシュートで届けられたのは、世界からの「思い」だった
パラシュートの下にあるのは、世界中から寄せられた資金で調達された食用油だ。世界中から寄せられた寄付金で運営されている国際連合世界食糧計画(国連WFP)が、南スーダンの人々を飢餓から救うために投下したのだった。
国連WFPのデイビッド・ビーズリー事務局長は、12月11日に都内で開かれたトークイベントで以下のように明かした。
「南スーダンでは、私たちのチームは僻地にも食料を届けました。戦闘地域のため陸路で食料を届けることができません。そこで飛行機から食料を落として100万人に食料を届けました。食用油も空から落としています」
「しかし、2000フィート(約600メートル)以上の高さからは食用油を落とすことはできません。そこで、パラシュートを改善して、食用油をこれまで以上に高い数千フィートの高さから落とすことに成功しました。新しいパラシュートの開発という戦略的なイノベーションによって、食用油をピンポイントでジェット機から落とすことができるようになりました」
2016年の世界の飢餓人口が10年ぶりに増加に転じた。ビーズリー事務局長はその要因について「紛争という人災だ」として以下のように訴えた。
「私たちの経費のうち82%は、シリアやスーダンなど人災による戦闘地域で使われています。世界中で7割の子供が発育不良で、その多くは戦闘地域の子供なんです。紛争が終わらせることとで、世界から飢餓をなくすことが出来ます」
■竹下景子に涙を流させた、7歳の少年の言葉とは?
このイベントには、国連WFP協会の親善大使を務める女優の竹下景子も出席した。南スーダンに隣接したスーダン共和国の学校で出会った男の子の言葉に涙を流したと、振り返った。
「足の不自由な男の子が『どうしても話したいことがある』と、クラスメートの肩を借りて私たちのところに来たんです。学校給食を食べて勉強できることへの感謝を彼は語ってくれたんです。『ボク、先生になりたい』と言ってました。本当に涙が出ましたけど、ハンディキャップがあっても、みんなと同じように学んで、夢を持てる。そのことの原点に学校給食があると思うので、その重要さを身に染みて感じました」
イベント後、ハフポスト日本版の取材に対して竹下は「スーダンに限らず支援を受けている子供たちは、お腹いっぱいになるまで食べられるのは学校給食だけって子が多いんですね。だから、みんな学校が大好きなんです」と話していた。