ジンバブエの“独裁者”ムガベ大統領が失脚? 与党のTwitter「無血の政権移譲だ」(UPDATE)

軍が国営放送局を占拠。「クーデタか?」と報道されていたが…。
ムガベ大統領
ムガベ大統領
Philimon Bulawayo / Reuters

クーデタが発生したと見られていたアフリカ南部のジンバブエで、与党ZANU-PF(ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線)のものとみられるTwitterアカウントが11月15日、「エマソン・ムナンガグワ氏が暫定党首となる」と発表した。

これが事実だとすれば、30年近く同国に君臨してきたロバート・ムガベ大統領が失脚したとみられる。

ムナンガグワ氏は11月上旬まで副大統領だったが、ムガベ大統領によって罷免されていた。

ZANU-PFはTwitterで、「ジンバブエでクーデタはなかった。私たちの憲法が崩壊したため、(軍が)介入する決定があった」とし、暫定的にムナンガグワ氏が党首になるとした。

また、続くツイートで「昨夜、ムガベ大統領一家が拘束されたが、安全は保証された、かつ憲法と国家の健全性を保つために必要だった」と説明。

その上で、「ジンバブエもZANU-PFも、ムガベ大統領とによって所有されるものではない。今日から新鮮で新たな時代が始まり、同志ムナンガグワはジンバブエをより良くするために役立つだろう」とし、ムガベ大統領からムナンガグワ氏に権力が移行することを示唆した。

Last night the first family was detained and are safe, both for the constitution and the sanity of the nation this was necessary. Neither Zimbabwe nor ZANU are owned by Mugabe and his wife. Today begins a fresh new era and comrade Mnangagwa will help us achieve a better Zimbabwe.

— ZANU PF (@zanu_pf) 2017年11月15日

ZANU-PFは「クーデタではなく、無血の平和的な政権移譲だ」と強調した。

ZANU PF has a way of solving our own problems, the situation is stable and Zimbabwe is open for business. There was no coup, but a bloodless peaceful transition- the centre is strong and there is peace with honest leadership.

— ZANU PF (@zanu_pf) 2017年11月15日

一方で、BBCは「与党のTwitterアカウントは認証マークが付いておらず、誰が投稿しているか不透明だ」と伝えている。

路上に展開するジンバブエ軍。November 15,2017. REUTERS/Philimon Bulawayo
路上に展開するジンバブエ軍。November 15,2017. REUTERS/Philimon Bulawayo
Philimon Bulawayo / Reuters

ジンバブエ情勢をめぐっては15日未明、首都ハラレで兵士らが国営放送局を占拠。軍の報道官は放送局を占拠した後、「ムガベ大統領の周辺にいる犯罪者を標的にしている」との声明を発表していた。

報道官は声明で「軍による政府の乗っ取りではない」「我々の使命が果たされたら、事態は正常に戻るだろう」としているが、事実上のクーデタとの見方がでていた。

一方で、他の治安部隊に対しては「いかなる挑発にも、適切に対応する」とし、軍を妨害する場合には実力行使をとることを匂わせていた。

軍報道官は「ムガベ氏と妻は無事だ」としているが、その所在は明らかになっていない。

AP通信などによると、ハラレでは3回の爆発音が聞こえ、弾薬を積んだ複数の軍車両や兵士の姿が路上で目撃されるなど、政情不安が広がっている。同日、軍がムガベ大統領を拘束したとニューヨーク・タイムズなどが報じていた。

ムガベ大統領(左)とグレース夫人。November 8, 2017.REUTERS/Philimon Bulawayo
ムガベ大統領(左)とグレース夫人。November 8, 2017.REUTERS/Philimon Bulawayo
Philimon Bulawayo / Reuters

1980年の独立以来、ジンバブエではムガベ大統領(93)が一貫して実権を掌握。欧米諸国からは「独裁者」と非難されてきた。

ムガベ大統領は、2018年に予定される選挙への出馬も表明していたが、近年は健康不安もささやかれていた。

後継者レースには、副大統領だったムナンガグワ氏と、ムガベ氏の妻グレース氏の名前が挙がり、与党内の分裂が鮮明となっていた。こうした中でムガベ氏は11月初め、ムナンガグワ氏を副大統領職から罷免した。

これを受けて、ムナンガグワ氏に近いと見られていたジンバブエ軍のチウェンガ司令官がムガベ大統領を非難。「軍は踏み込む(行動を起こす)」用意があるとしていた。一方で、与党の広報担当者は「暴動と憲法秩序への激しい挑戦を促すものだ」とチウェンガ司令官を批判していた

AP通信によると、ムナンガグワ氏は軍の支持を受けて次期大統領の座を狙っていたが、脅迫を受け国を離れていたという。

国内では「グレース氏が夫の後継となるのでは」との見方が出ていたが、政治闘争やぜいたくな生活のせいで、国民の間で支持が広がっていなかったという。

軍は15日、グレース氏が率いるグループ「G40」の中心メンバーであるチョムボ財務相を拘束した

【※】内容を随時更新します

【UPDATE】(2017/11/15 18:25)

最新情報を受けて、記事タイトルを更新しました。

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