福岡県がDV(ドメスティック・バイオレンス)防止を啓発するために制作したポスターが、Twitterで注目を集めている。
Twitterユーザーの「よこえもん」さんが11月2日に紹介したところ、7日現在までにリツイートが9万7000回以上、「いいね」が16万以上と大きな反響があった。
ポスターを企画したのは、福岡県の男女共同参画推進課だ。DV防止を啓発し、相談窓口を告知するために制作したもの。そこには、2つの顔のイラストが描かれている。
1つは、ほっぺの部分が赤く塗られ、微笑んでいるような可愛らしい顔。もう1つは、同じ表情だが、その赤みの部分が目と口の部分にずれて、暴力を受けて痣になったような顔に見える。
そして、そこにはこんな言葉が添えられている。
Twitterでポスターを見た人からは、
- 「可愛くてポップな絵なのに、悲しくなる...」
- 「シンプルなのに胸に刺さります」
- 「男性被害者や同性愛者向きのホットラインも用意して、『DVは男性から女性への加害だけじゃない」ということも考えてるのが素晴らしい』」
など、数多くの反響が寄せられている。
ハフポストがよこえもんさんに話を聞いたところ、「ポスターは、福岡県内のコンビニエンスストアのトイレに掲示されていた」という。
どんな思いで企画・制作したのか。福岡県の男女共同参画推進課の担当者に話を聞いた。
――このポスターが制作された経緯は?
福岡県では毎年11月の『女性に対する暴力をなくす運動』期間に合わせて、DV防止の啓発ポスターやステッカーを制作しています。
今年はポスター1種類とステッカー2種類を制作しました。同じデザインで、ステッカーは男性トイレ用と女性トイレ用に2種類を制作しました。これは、相談する被害者の方の性別によって相談窓口が異なることへの配慮です。
――なぜ、トイレにもステッカーを?
はい。DVのポスターは、なかなか人の目につくところでは見にくいのではと思います。
なので、トイレなど「周囲の目を気にせず、見てもらえるところへ貼ってほしい」と、県内のコンビニエンスストアさんなどにお願いをして掲示していただいています。
――福岡県のDV被害者の相談ホットラインは「男性の方」「女性の方」「LGBTの方」、そして「性暴力被害者」でそれぞれ分かれていますね。
もともと、DVのホットラインは女性の相談員が対応していたのですが、実は男性のDV被害者の方も相当数いらっしゃる。そこで男性被害者の方も相談しやすいように、男性用のホットラインを設けました。
また、LGBTなどセクシュアル・マイノリティの方の被害者もいらっしゃいます。そういった方々にも、安心してご相談していただけるよう、専用の窓口を2016年7月から開きました。
――シンプルかつメッセージ性のあるデザインは、「心を揺さぶられた」といった反響がありました。どのようにして決めたのでしょうか。
コンペ形式で、複数の広告会社さんの提案の中から選びました。
また、ポスターの「愛情がズレただけ? いいえ、それは暴力です。」という文言は、専門家の方の意見を踏まえて決めました。
Twitterがきっかけとなり、多くの方に関心を持っていただき大変ありがたいです。これをきっかけに、DVが「暴力」であることを広く知っていただきたいです。
中にはDVを受けていても、それを「愛情」だと思い、ご自分がDVの被害者に遭っているという認識をもっていない人もいらっしゃるかもしれません。一人で悩まず、とにかく相談してほしいと思っています。