ナチス・ドイツに占領されたオランダのアムステルダムで隠れ家にいたアンネ・フランクは、なぜ見つかってしまったのか--。米連邦捜査局(FBI)の元捜査員が率いるチームがこのほど、歴史の経緯について調査に乗り出した。
公式サイトによると、チームを率いるのは、FBIでコロンビアの麻薬犯罪組織を追っていたビンス・パンコーク氏。犯罪学の専門家20人が、最新のデータ分析を駆使し、真相の解明を目指す。
当時10代だったドイツ人少女のアンネは、父オットー・フランクの職場があったアムステルダム市内の建物の隠し部屋に住んでいた。他のユダヤ人家族と一緒に2年以上隠れ住み、そこでの出来事を日記に書き続けた。
1944年8月、ドイツの秘密国家警察ゲシュタポに見つかり、ナチス強制収容所に送還。そこでの生活に耐え抜くことができず、わずか15歳で命を落とした。生き残った父オットーが1947年、アンネの日記を出版した。
オランダ警察は戦後、父オットーの依頼を受けて、彼らを裏切った人物を特定する捜査をしたが、結論は出なかった。
CNNによると、アムステルダムにある博物館「アンネ・フランクの家」が2016年12月、アンネは裏切られたのではなく、偶然見つかってしまった可能性を示唆する研究結果を公表。
これに対してパンコーク氏は、第2次大戦後にアメリカに返送され、ここ最近機密解除された文書から、新たな情報を発見したと訴えている。
ガーディアンによると、調査チームはアンネ一家が拘束された日を再現。FBIの行動科学班にいたメンバーら知見を生かし、目撃者の証言やインタビュー内容を役者を使って再現する。これまで裏切りを指摘された「容疑者」30人全員について、再調査するという。
アンネの日記や、当時の記録からの情報を集め、専用ソフトウェアでデータをスキャンして容疑者を絞り込む。
この調査は、フランク一家の逮捕から75年となる2019年8月4日までに、真相を究明を目指す。