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フランスのファッションブランドのクリスチャン・ディオールが9月26日、パリで新作コレクションを発表した。
2017年の春夏コレクションでは、「WE SHOULD ALL BE FEMINISTS(男も女もみんなフェミニストでなきゃ)」とのメッセージがプリントされたTシャツを発表して、話題になったディオール。
最新コレクションでは、「Why Have There Been No Great Women Artists?(なぜ偉大な女性芸術家はいなかったのか?)」と訴える新たなメッセージTシャツがランウェイの先頭を飾った。

アメリカのドナルド・トランプ大統領の就任以来、多様性への理解や女性の活躍を呼びかけ、"政治的なメッセージ"を発信するブランドが増えている。
ブランド史上初の女性クリエイティブデザイナー、マリア・グラツィア・キウリが手がけるディオールは、その筆頭に立つ存在だ。
このメッセージは、フェミニストの視点を持つことで知られる女性美術史家、リンダ・ノックリン氏が1971年に発表した論文『なぜ偉大な女性芸術家はいなかったのか?(Why Have There Been No Great Women Artists?)』から引用された。
ノックリン氏は、アート業界では"男性"の視点が優先される傾向にあり、優れた女性アーティストが多数いたにも関わらず、平等に評価されず埋もれていったと指摘した。
ディオール初の女性クリエイティブディレクターという重責を担うキウリにとって、男女平等は重要なテーマだ。
「WE SHOULD ALL BE FEMINISTS」に次ぐ新たなメッセージTシャツを発表したことで、ディオールは「声をあげつづける」ブランドになったことを印象づけた。
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かといって、ただメッセージをTシャツにプリントするだけではない。
ディオールは2017年3月から、世界10都市・約200人の女子大生が参加する1年がかりの指導プログラム、『Women@Dior』を開始した。
このプログラムに参加すると、3カ月ごとに少なくとも1回以上、ディオールに所属するクリエイターのチームメンバーに会い、アドバイスを受けることができる。
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キウリはこのプログラムの発案に至った理由について、こう語っている。
「私には20歳の、とても仲が良い娘がいます。彼女のおかげで、私は世界で活躍することになる新世代の女性と交流を持てています。彼女たちと成長をともにし、一緒にファッションをつくっていきたいと思い立ったのです」
ディオールとキウリの夢は、まだまだ続いていく。