中国北西部の青海省などで、野犬の被害が相次いでいる。価格が下落したことにより、ブリーダーが数千匹に及ぶチベット犬の飼育を放棄。地元の動物保護グループが対応にあたっているが、数が多すぎて追いつかず、寺院を徘徊したり、家畜や人を襲ったりする野犬が増えているのだという。9月14日、中国の環球時報などが報じた。
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野犬化しているのは、「チベタン・マスティフ」と呼ばれる大型犬で、体高約70センチ体重約70キロに達する。もともとはチベットでオオカミやユキヒョウといった外敵から羊の群れを守る犬として飼育されてきており、「強くて大きい国産犬」として人気を得た。
2005年4月28日付の朝日新聞によると、それまで金持ちの間では高価な外国犬が人気だったが、「国産」ということでチベタン・マスティフの人気が上昇した。当時は1匹の価格は百数十万円などと報道されていたが、2008年には50万ドル(当時約4800万円)、2014年には200万ドル(当時約2億円)と高値がつく犬が続々登場した。中国各地の都市部では養犬場が作られた。
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ところがその後、価格が暴落してバブルが崩壊。2016年には、価格が数千元(数万円)ほどになり、困った業者が肉食用に転売するケースも報じらた。
飼育を放棄するブリーダーも増え、環球時報によると、チベット自治区ラサでは、2015年に野犬の総数は1万3000匹に達したという。また、チベット自治区1カ月平均で、180人が野犬に襲われたとする記録もある。
地元自治体や寺院は、保護施設のために約20万元(約330万円)を拠出して約1200匹を収容したが、まだ600匹以上の野犬が収容できていないという。