メディアと表現牛乳石鹸が6月15日に公開したPR動画『牛乳石鹸 WEBムービー「与えるもの」篇』が、8月に入りネット上で話題を呼んでいる。
息子の誕生日に、会社の後輩とお酒を飲んでから家に帰り、妻からちょっとした小言を言われる父親の動画。最後は、「さ、洗い流そ。」のキャッチコピーで締められる。
家庭を顧みない父親なのか、それとも、父親の役割や働きかたの考え方が変化する中、戸惑っているリアルな男性の姿なのか。牛乳石鹸がストーリーに込めた思いを探ろうとする動きがTwitterで広がった。この動画はなにを描きたかったのだろうか?
ハフポスト日本版が8月16日、実際に牛乳石鹸のマーケティング部に聞いてみたところ、18日に以下のような答えをFAXでもらった。
この度は、お問い合わせを頂きまして誠にありがとうございます。
お問い合わせいただいた動画は、家族や息子のことを大切に思いながらも、
時に迷いながら、それでも前を向いて毎日頑張っている父親の姿を
描いています。
皆様からいただいた全てのご意見を有難く受け止めております。
今後の参考にさせていただきます。
お問い合わせ頂き、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
牛乳石鹸共進社株式会社
そもそもどんなストーリーだったのか。
動画は、彼が朝のゴミ出しをするシーンから始まる。
その日は息子の誕生日だ。仕事の合間を縫って妻からメールで頼まれた誕生日ケーキとプレゼントを買いながら彼の気持ちがナレーション形式で語られる。「家族思いの優しいパパ、時代なのかもしれない。でもそれって正しいのか」。
その後、会社の後輩を飲みに連れていってから帰宅した彼に対して、妻は「何で飲んで帰ってくるかな」の一言。彼は気持ちを切り替えるために入浴し牛乳石鹸を使う場面で唯一商品が登場する。お風呂から出た彼は「さっきはごめんね」と妻に謝罪し、家族はめでたく息子の誕生日を祝う。
幼かった頃、自分が見ていた父親と今の自分を比べて内省的な語りが続く動画の最後には「さ、洗い流そ。」の言葉。
この動画に対してネット上では、様々な観点で賛否両論の意見が飛び交った。
「あるべき夫とは、父親とは」といった観点での批判的な声や、「そもそも意味がわからない」といった感想もあった。
牛乳石鹸のやつ、不快とかではなく全然理解ができない。意味がわからない...不快かどうかもわからない...どうしよう...
— 長尾猫也 (@nagao_ncy) 2017年8月17日
牛乳石鹸のCM。いろいろと考えさせられて、個人的には男としてお父さんに共感できるし、一方で炎上する火種もわかる。禅問答としていいと思うんだけど、牛乳石鹸の広告としてはやっぱり大失敗なのかも知れない。あのCMが牛乳石鹸のである意味はわからない。「さ、洗い流そ」と言われても......。
— 瀬久原万太郎 (@mount_low) 2017年8月17日
一方で、「(あの動画に登場する人のように)生きている人は多いと思う」という声や、「人は、時に、ダメな方・ダメな方を選択してしまうことがある」といった、動画に登場する男性の人物像に共感を示すコメントもあった。
牛乳石鹸のCM、いろんな意見はあって良いが、削除なんて愚行は絶対にすべきではない。人は、時に、ダメな方・ダメな方を選択してしまうことがある(離婚なんて殆どそれ)そんな自分に嫌気がさす事もある。それを洗い流したいってことさ。https://t.co/4tI8QSAdkS
— 00nos (@0onos) 2017年8月16日
牛乳石鹸のウェブCM、確かにいろんな批判があがることもわかるけれど、「人は『正解』なしでも生きられる」ことへの信頼感がなんとなくうっすら描かれてる気もして嫌いじゃない。たぶん本当はあの動画みたいな感じで、生きてる人は多いと思う。広告としてはやっぱり伝わりにくいと思うけれど。
— yurina hokari (@urina1203) 2017年8月18日
動画で父親役として出演していた俳優の新井浩文さんは16日、Twitterで「うちの事は嫌いでも、牛乳石鹸は嫌いにならないでくださいm(__)m」と呟いた。