こんなやり取りを耳にしたことはないだろうか。
「お誕生日おめでとう! 素敵な30代を」
「ありがとう! でも、30歳なんて、めでたくないよね......」
年齢を重ねることについて、ついネガティブになってしまいがちな私たち。どうして、歳を重ねるのが怖いのだろう。
SK−Ⅱのキャンペーン「年齢って何だろう」がインターネットやSNS上で話題になっている。有名無名問わず、多くの人がメッセージを発信し、さまざまな議論が巻き起こっている。年齢をテーマにした、こんなムーブメントがこれまであっただろうか。SK-Ⅱはさらに、新たな動画を公開した。
■「自分らしく」「ポジティブに」メッセージ続々
今回の動画に呼応するように、有名人もTシャツに手書きのメッセージを書いてツイッターやインスタグラムで発信し、年齢や期限についての会話を活発化させている。その一部をご紹介したい。
年齢にとらわれること無く、どんな時も自分らしく!(磯山さやかさん)
人は歳を重ねるたびに強く、美しく、チャーミングになっていく。「歳を取る」ではなく「歳を重ねる」。これは素敵なことです。みなさんにも自分らしく歳を重ねて素敵な人生をポジティブに歩んでほしいです。(まつゆうさん)
発信力を持つ女性たちの力強いメッセージに、うん、とうなずく。何かを決める時に年齢というタイミングは意識する必要はないし、歳を重ねることについて、必要以上にネガティブになる必要はないのだ。
■人生の選択と年齢。本当に期限はないのか
結婚、出産、就職、転職、マイホーム購入、家族の看病、介護......。人生において重要な選択は、しばしば年齢的な期限とともに語られる。
バブルの頃は、「女性はクリスマスケーキ(25歳をすぎると売れ残る)」という表現が本当に使われていたらしい。最近でも、「30歳までに結婚したい」という芸能人のコメントが取りざたされたり、「ローンを組むなら35歳までが得」とライフプランを勧められたり、「転職は40歳が限界」という言葉が転職市場を盛り上げたり。私は今のままでいいのかと、悩み戸惑う。
インターネットで「何歳までに」と検索すると、まず大量に出てくるのは「何歳までに妊娠できるか」という問いだ。42歳? 44歳? 50歳? 具体的な数字が、女性たちの切実さを物語る。
80年の人生のうち、妊娠できる年代は確かに限られている。今、まさに期限を意識しながら、治療や妊活に取り組んでいる人もいる。自力ではコントロールできないことだから、念願が叶う人もいれば、叶わない人もいる。これもひとつの真実である。
それぞれの人生、それぞれの選択
■彼女たちの選択と年齢
ある夜、突然自宅を訪ねてきた女友達は、「このまま私は一生、ひとりで生きていくのかな」とさめざめと泣いた。31歳。周囲の結婚報告もひと段落し、SNSで友人の赤ちゃんの写真を見るたびに、いたたまれなくなって画面を閉じるのだという。
「こんな歳になって、夜が怖い。孤独が怖いの」。羨ましい限りのキャリアを重ねてきた彼女。結婚・出産とキャリアはトレードオフではない。年齢を重ねてこそ、生涯のパートナーとめぐり逢い、素敵な家族を築ける人もいる。そうは言っても、怖いものは怖いというのもわかる。
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「私、辞めるのをやめたの」と打ち明けてくれた友人がいる。数年にわたって転職活動をしてきたが、いつの間にか「30歳までに転職すること」が目的化していたことに気づいたという。
ここ数年、転職の幅が広がってきた。副業が認められる企業も増えて、企業を超えて個人が活躍できる環境も生まれてきた。改めて考え直してみたところ、転職だけがキャリアアップの手段ではないと気づいたという。選択しないという選択もまた、尊い。
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元々結婚にこだわりはなかったのに、容赦ない期限を前に、29歳での結婚を選んだのは私だ。30歳までに結婚したかったわけではない。癌を患い、医師に宣告された余命という期限が迫る母の前で、結婚式をやりたかった。
長く付き合っていた彼に「どうしても式を挙げたい」と告げた。祈るような思いで、式の準備の日々を過ごした。年齢のことなんて、当時は忘れていた。ウエディングドレス姿で、今は亡き母と撮った写真が宝物だ。
■運命を変える。受け容れる。
年齢的な期限に縛られる必要はない。運命を変える力は、あなた自身の中にある。誰かに決められた期限なんてない。SK−Ⅱからのメッセージだ。
年齢的な期限からの解放を訴える女性たち
そのうえで、思うようにいかなかったときにどう考えるべきか。そんな議論も生まれている。SK-IIと「はてなブログ」のコラボキャンペーンに応じた人気ブロガー「はせ おやさい」さんのエントリー「あなたの人生は、あなたしか生きることができない」から、以下のメッセージを引用したい。
出産や育児など、特定の何かをするのに「適正なタイミング」というのはあって、その期限を知っているか知らないかで、デメリットはある。
自分がそれぞれの期限を過ぎたときに、「ああ、間に合わなかったけれど、これはこれでいい人生だな」と思えるかどうかのほうが、もっとずっと重要だと感じています。100人の人間がいれば、100通りの人生があります。そしてそれぞれの人生において、それぞれ分からないなりに迷い、選び、後悔したり、それを乗り越えて生きている。
引用:はせ おやさい「あなたの人生は、あなたしか生きることができない」
あなた自身の人生。何かを選ぶことに、期限なんてない。たとえ思うようにいかないことがあったとしても、それを前向きに捉える力もまた、あなた自身の中にあるのだ。