約2年前、8歳のときに両手の移植手術を受けた男の子が、驚異的な回復を見せている。
世界最年少で手術を受けたアメリカのボルティモアに住むザイオン・ハービーくんは、今では10歳。担当医らは7月18日に研究ノートを発表し、ザイオンくんは文字を書いたり、ひとりで服を着たり、野球のバットをスイングしたりできるようになったと、回復の様子を紹介した。
ザイオンくんは2歳のときに重い敗血症にかかり、両手・両足を切断しなくてはなかった。肝臓にも影響が出たため、その2年後には、腎臓の移植手術も受けていた。
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ザイオン君は、手がなくても様々な動作を器用にこなしていたが、「いつか、ボールを投げたい」という夢があった。その夢をかなえようと、12人の外科医を含む40人からなる医療チームがつくられ、2015年7月にフィラデルフィアの小児病院で、匿名ドナーから提供された両手の移植手術が行われた。手術は約11時間にも及んだ。
両手同時の移植は、2011年に成人への手術が成功して以来、ザイオンくんの手術までに25件行われていた。しかし、子供への手術は複雑さを伴い、ザイオンくんが初めてだった。
手術後のザイオンくんの様子
今回の発表によると、ザイオンくんは移植手術から7週間後に退院。以降、ゲームや人形などを使って、リハビリを続けてきた。担当医によると、ザイオンくんは今では母親の頬に触れ、感触を知覚することもできるようになったという。
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