6月30日、ドイツ連邦議会は同性婚の合法化を可決した。メルケル首相が同性婚合法化に道を開くことを示唆した発言からわずか数日後のことだった。
メルケル首相が率いる与党・キリスト教民主同盟(CDU)は、党を支持する保守層が同性婚に対して否定的だったため、これまで同性婚反対の立場をとっていた。
しかしメルケル首相は6月26日、ドイツの女性誌「Brigitte」のトークイベントで党員は「党の基準ではなく自らの良心に従って投票していい」と発言した。
同性婚に対する立場を変えた理由を、8人の子供の里親をしているレズビアンカップルから自宅に招待されたことがきっかけだと首相は話している。その時の経験を「人生を変える出来事だった」と表現し、今後は党として同性婚に反対する立場はとらないと述べた。
一方で、LGBTの権利を求める団体や専門家は、メルケル首相が態度を急変させたのは、今年の後半に控える総選挙で結婚の平等化を求めている野党への対抗するためだとみている。
同性婚合法化を祝う人たち(REUTERS/Hannibal Hanschke)
メルケル首相のコメントを受け、世論調査でCDUを追うドイツ社会民主党のマルティン・シュルツ党首は、数週間以内に同性婚合法化の投票を実施するように求めた。
CDU内でも特に保守的とされる議員の何人かは合法化に反対し姿勢を急変させたメルケル首相を非難したが、法案は可決された。
世論調査によれば、ドイツの有権者の大多数が、同性婚を求めている。連邦の反差別団体が2017年の初めに実施した調査では、83%が同性婚をサポートした。
ドイツは2001年から同性パートナーシップ制度を導入しているが、パートナーシップ制度は平等な結婚には相当しない。近年ヨーロッパでは同性婚の合法化が進んでおり、フィンランドやスロベニアなどでも合法化された。今回ドイツ連邦議会が可決したことで、ヨーロッパ最大の人口を持つ国で同性婚が合法化されたことになる。
(Photo credit should read TOBIAS SCHWARZ/AFP/Getty Images)
【訂正】(2017/7/4 20:10)
メルケル首相の発言は、正確にはドイツの女性誌「Brigitte」のインタビューではなく、正しくは同誌の記者が参加するトークイベントでした。またメルケル首相が「8人の子供の里親をしているレズビアンカップルを訪問し、一緒に夕食をとった」としていましたが、ニューヨークタイムズによると「招待状はもらったが時間が取れなかった」と書いてあることから「自宅に招待された」と訂正します。また、タイトルを「ドイツ、同性婚を合法化。きっかけはメルケル首相のレズビアンカップルとの出会いだった」から「ドイツ、同性婚を合法化。レズビアンカップルとの出会いがメルケル首相を変えた」とします。
ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。
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