シンガー・ソングライターの秦基博と、漫画家のあだち充のコラボが実現した。
秦基博の代表曲の一つ「鱗(うろこ)」のミュージックビデオの中に、あだち漫画の世界観が広がる。国民的野球漫画『タッチ』と、甲子園優勝を果たした明青学園の26年後を描いた漫画『MIX』の名場面が次々と現れるビデオだ。
「南を甲子園へ連れて行って」「上杉達也は朝倉南を愛しています」などと数々の名ゼリフで読者の心を震わせてきてた『タッチ』。
あだちが漫画のコマを、他のアーティストやキャンペーンなどに提供するのは初めてだという。
「鱗」は10年前の2007年にリリースされた秦 基博のセカンドシングルで、代表曲の一つだ。
■ずっと好きでたまらなかった、あだち充とのコラボ
なぜこの組み合わせなのか?
ユニバーサルの広報担当者は、ハフポスト日本版の取材に対して以下のように経緯を語った。
秦基博の一番好きな漫画家さんがあだち充なんです。
あだちさんも、2009年に秦基博が『熱闘甲子園』のテーマソングを歌った時から秦の存在を知り、好きになってくださったようで、"相思相愛コラボ"が実現しました。
担当者によると、秦基博は「あだち先生のことが好きすぎて、サインを書くのも緊張しました」と話したという。
■「鱗」とあだち漫画、シンクロしてる?
ミュージックビデオは、ファンならずとも胸キュンのコマのオンパレードで進んでいく。
「男は好きな女のためだと、自分でもおどろくようなことができちまうもんだよ」(上杉達也)
「勝った方が南を嫁さんにできる」(上杉和也)
「そうだぞ、ここで南を甲子園につれていかないと、一生ボヤくからな。」(朝倉南)
「鱗」で歌われる言葉は、思い通りにいかないもどかしさや恋の切なさが、あだち漫画に通じるものがある。
言い出せずにいた想いをねぇ 届けなくちゃ
君を失いたくないんだ
(「鱗」の歌詞抜粋)
◇
あだち充と言えば、登場人物同士の顔が非常に似通っていることがよく話題にのぼる。人気バラエティ番組「アメトーーク!(テレビ朝日系)」で、各世代の作品の主人公を並べて、『タッチ』の上杉達也を選ぶというクイズが出題されたほどだ。
同じような顔なのに、全く違う人間性、全く違う人生が背後に漂う。
同じような顔であるからこそ、すんなりとキャラクターに感情移入できてしまう、という効果もあるのかもしれない。
「恋愛」「青春」「成長」を描き続け、読者の心を掴み続けてきた、あだち充の凄みを感じる5分35秒のビデオだ。
▼画像集が開きます▼
【※】スライドショーが表示されない場合は→こちら。