マンチェスター市議会は6月14日、22人が犠牲となったテロを受けて慈善公演を開いたアメリカの歌手アリアナ・グランデに、名誉市民の称号を与える意向を表明した。
市議会は、市政に多大なる貢献した人を表彰する制度を設ける議案を、7月議会に提出する。その中で、マンチェスター在住でない人に名誉市民を与えることも盛り込んでおり、第1号としてアリアナに授与する予定だという。
市議会はアリアナを候補者として選んだ理由について、彼女がテロの犠牲者を追悼するため、6月4日にマンチェスターで慈善公演「One Love Manchester」を開いたことなどをあげた。現在までに、チケットの売り上げなどで約300万ポンド(約4億2000万円)を寄付金として集めている。
アリアナ以外にも、市議会は「残虐なテロ行為の後で、コミュニティー意識や他人のための行動が数多く見られた」と述べ、こうした市政に貢献した人を表彰するイベントを、2017年中に開く意向を示している。
マンチェスターには「freedom of the city」と呼ばれる表彰制度があるが、受賞者は2000年以降4人とほとんどおらず、新たな制度の必要性が指摘されていた。
こうした事情も影響し、市議会のリチャード・リーズ氏は、「マンチェスター市政の繁栄や市民生活に貢献した人たちに対する表彰制度を見直すのに、ちょうどいい時期だ」と説明。
「憎しみや恐怖ではなく、愛と勇気を以った慈悲深い方法でテロに立ち向かったマンチェスターとその人びとを、私たちは誇りに思うべきだ」と強調した上で、「それを体現していたのがアリアナで、既に多くの人が彼女を名誉市民だとみなしているが、議会が賛成して公式に授与できれば喜ばしいことだ」と期待した。
この議案は、7月12日に開かれる市議会で、審議される予定だ。
テロは5月22日、アリアナ・グランデのコンサートが開かれていた「マンチェスター・アリーナ」の付近で起き、来場客ら22人が死亡し、多数のけが人が出た。
アリアナは6月4日、被害者を追悼するため、マンチェスターで慈善公演を開催し、約5万人が参加。ロックバンドのコールドプレイや、マンチェスター出身のバンド・オアシスの元メンバー、リアム・ギャラガーも登場し、犠牲者を悼んだ。
■関連画像集「アリアナ・グランデのチャリティコンサート「One Love Manchester」」
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