安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐり、内閣府が文部科学省に「総理のご意向」などと早期開学を促したとされる文書の有無が焦点となっている。
松野博一・文部科学相は6月9日、追加の調査をすると発表したが、この問題について「文書は間違いない」「行政がゆがめられた」と証言して、一躍メディアの注目を浴びるようになったのが前文科事務次官の前川喜平氏だ。「座右の銘」が「面従腹背」と語る前川氏に対して、同じく元官僚で慶大大学院教授の岸博幸氏が「官僚のクズ」と厳しい言葉で批判した。
前川氏は、1日放送のテレビ朝日系『報道ステーション』のインタビューで座右の銘について聞かれ、次のように語った。
私ね、座右の銘が「面従腹背」なんですよ。あの、これは普通は悪い意味で使われるんだけど、役人の心得としてある程度の面従腹背はどうしても必要だし、この面従腹背の技術というか資質はやっぱり持つ必要があるので、ですから表向き、政権中枢に言われた通り、「見つかりませんでした」という結論に持っていくけれども、しかし、巷では次々にみつかっているという状態ということを考えたかもしれない。
そういう面従腹背しきれなかったかというと、しきれたかもしれません。いま私、面従する必要がなくなったんでね。だからいま、「面背腹背」なんですよね。けしからんと思われる方もたくさんいると思うんです、「今になって」と。38年宮仕えして、初めて自由を獲得したんですよ。「表現の自由」をですね、本当に100パーセント享受できる喜びというのはね、これは大変なものですよ。多くの公務員はものすごく息苦しい中で、暮らしているわけですよね。もともと政治活動についてものすごく制限されていますし、物言えば脣寒しなんてどころじゃない。「辞めた人だから気楽でいいね」と言われるんですが、その通りなんです。
ちなみに「面従腹背」とは、「表面では服従するように見せかけて、内心では反抗すること」という意味だ。
こういった発言をしている前川氏について、岸教授は13日付の産経新聞で「『総理のご意向』があるから逆らえなかったというのは間違っている」として、次のように非難した。
安倍内閣が人事権を握っているから逆らえないともいわれるが、本当に日本のために必要だと思うなら、クビを恐れずにやればいい。(中略)人事権を握られたぐらいで何もできないなんて、その程度の志しかない人間が偉そうにモノを言うなと思う。
前川氏の座右の銘は「面従腹背」だそうだが、論外だ。そんなことを正々堂々という官僚なんて官僚のクズだと思う。一時期とはいえトップを務めた人間がそんなことを言えば、文科省がそういう組織に見える。文科省の後輩たちに迷惑をかけると思わないのか。
(【加計学園問題】岸博幸・慶大院教授インタビュー 「加計学園問題は改革つぶし」「前川は官僚のクズ」 - 産経ニュースより 2017/06/12 23:48)
小泉純一郎内閣の竹中平蔵・元経済財政担当相に秘書官として仕えた岸教授は、通商産業省(現・経済産業省)出身だ。
岸博幸氏=慶応大学のサイトより
この産経新聞の記事は「『総理のご意向』と記載された文書の有無が議論を過熱させている一方、問題の本質であるはずの国家戦略特区制度に関する議論は置き去りにされている」と強調している。
岸教授の辛辣な発言に、Twitter上では賛否の声が上がっている。作家の盛田隆二さんも次のようにコメントした。
▼画像集が開きます▼
【※】スライドショーが表示されない場合は、こちらへ。