学校法人加計学園の獣医学部の新設をめぐり、松野博一・文部科学相は6月9日、「総理のご意向」などと記載された文書が存在するかどうか、追加の調査をすると発表した。閣議後の記者会見で明らかにした。
この文書をめぐっては、文科省がすでに職員などへの聞き取りをしたが、「文書は確認できなかった」とする調査結果を公表していた。
しかしその後、前川喜平・前文部科学事務次官が記者会見し、「文書は確実に存在する」と強調。民進党や共産党などは文書が省内で存在するのかどうか、改めて調査をするよう求めていた。
さらに、現役の職員からも文書について「省内で共有されていた」との証言もあったことなどから、政府に対して追加の調査を求める声が強まっていたが、菅義偉官房長官は記者会見で「出所や入手経路が明らかにされない文書の調査は必要ない」と繰り返し、これまで再調査はしない意向を示していた。
共同ニュースによると、こうした野党や世論の強い批判から、安倍首相や菅官房長官らが8日、対応を協議。出席者からの一部から再調査すべきだという意見もあがっていた。
松野氏は記者会見で、国民から追加調査を求める声があがっていることなどを理由に、安倍首相に対して追加調査を実施する意向を伝えたことを明らかにした。安倍首相からは、「徹底した調査を速やかに実施する」よう指示があったという。
松野氏は、「国民の声に真摯に向き合い、改めて徹底した追加調査を行ってまいりたい」と説明。追加調査の概要について「今度早急に検討の上、速やかに調査を行い、結果がまとまり次第発表したい」と述べた。
記者から「再調査は行わない」としていた判断を変えた理由を問われたが、「寄せられる国民の声を勘案し、総合的に判断した」と繰り返した。
前回の調査の評価について、「当時においては、調査方法においては合理的な方法だったと考えています」と返答。現役の職員から文書の存在を訴える証言が報じられていることに対しては、「私の方で確認しておりません」と返した。
主な記者会見のやり取りは以下の通り。