アメリカ国務省のスチュアート・ジョーンズ国務次官補代行(中東地域担当)は5月15日、シリアのバシャール・アサド大統領政権が囚人を大量に拷問・殺人している証拠を隠滅するため、首都ダマスカス郊外のサイドナヤ軍事刑務所内に火葬場を建設して彼らの遺体を処分していると発表した。
「我々は、シリア政府が証拠を残さずに囚人を処分するため、火葬施設をサイドナヤ刑務所に設置したと確信している」と、ジョーンズ氏は記者会見で語った。
アメリカ政府は、アサド政権が2013年以来、刑務所の施設に火葬場と思われる「改装された建物」を所持しているとみており、ジョーンズ氏は「サイドナヤ刑務所での大量殺人を隠蔽しようとするものだ」と批判した。
シリア政府は16日、アメリカ国務省の発表を「現実離れしたハリウッド・ストーリーだ」と否定した。
サイドナヤ刑務所はダマスカスから約45分の郊外に位置し、シリアで最大の、最も厳重な刑務所だ。ジョーンズ氏は、内戦が始まって以来、非合法な殺人や大量の絞首刑がここで執行され、毎日50人もの囚人が殺害されていると語った。
アムネスティ・インターナショナルが2月に発表した報告書によると、サイドナヤ刑務所で2011年から2015年にかけて5000〜1万3000人の死刑が執行された。アムネスティの調査では、この刑務所を、人道に対する罪が定期的に行われる「人間屠畜場」と呼んでいる。
アサド政権は、殴打、感電、レイプをはじめとする拷問の数々を行っている、とジョーンズ氏は語った。
またジョーンズ氏は、アサド政権は刑務所の外でアレッポなどの都市を空爆し、化学兵器で攻撃し、人びとを餓死させ、性暴力を加え、水や医療のサービス提供を拒否していると批判した。国連は、シリア内戦でこれまでに約40万人が死亡したと推定している。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は4月6日、化学兵器を備蓄していたシリアの空軍基地を空爆した。アサド政権が4月4日にイドリブ県を化学兵器で攻撃したことに、巡航ミサイル59発を放って報復した。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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