北方領土の元島民らがふるさとをビザなしで訪れる今年初めての「自由訪問」で、訪問団が国後島にある日本人墓地に行こうとしたところ、ロシア側が許可しなかったことが5月17日、明らかになった。2016年12月にあった日ロ首脳会談の際、ロシアのプーチン大統領は「最大限自由なアクセスを保障する」と述べていたが、その約束が早くも破られた格好だ。
自由訪問は、元島民やその家族が島にあったかつての自宅などをビザなしで訪れる仕組みで、日本人と北方四島に住むロシア人が訪問し合う「ビザなし交流」や、元島民らの墓参とともに毎年行われている。
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元島民らでつくる「千島歯舞諸島居住者連盟」(札幌市)によると、今回の訪問団は59人で、5月15~18日の日程で国後島を訪問。滞在中、島内にある瀬石(せせき)とニキシロ、東沸(とうふつ)にある3カ所の日本人墓地にも行く予定だった。瀬石とニキシロは以前から立ち入りが制限され、手前に立てられた墓地の標柱で慰霊行事をしていたが、今回はそこまで行くことも許されなかった。東沸はこれまで訪問が認められていたが、今回初めて立ち入り許可が出なかったという。
元島民らによる北方領土訪問をめぐっては、プーチン氏が「今まで行けなかった場所でさえ行けるよう、最大限自由なアクセスを保障することで日本側と合意した」と明言していた。今回のロシア側の対応は日本側から反発を招きそうだ。
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