「日本三大祭り」の1つである神田明神の「神田祭」が、5月11日(木)から始まった。仮装行列や山車、曳き物が練り歩く「神幸祭」(13日)、神輿が氏子町内を巡行する「神輿宮入」(14日)で祭りは最高潮に達する。
2017年、神田祭の様子
今年の神田祭では、ITを活用した一風変わった取り組みが始まる。「神田祭ラボ」と銘打ち、神輿や山車などにライブカメラを取り付けて祭りの様子を生中継したり、現在の地図と古地図を比較表示できるアプリなど、スマートフォンを使った新たな祭りの楽しみ方を提案する。
「神田祭ラボ」を企画したのは、都心北部の文化資源の活用策を探る「東京文化資源会議」の分科会「地図ファブPT」。神田明神とともに今回の企画を進めている。
「地図ファブPT」メンバーで、情報・システム研究機構データサイエンス共同利用基盤施設人文学オープンデータ共同利用センター特任研究員の鈴木親彦さんは「神田祭ラボ」の意図について、ハフポスト日本版にこう語る。
「神田祭は大きなお祭りです。参加している人、その場で見ている人は熱気を感じられますが、全体像は見えにくい。それを地図やライブ映像で俯瞰して楽しめたらと考えました。古くて新しいお祭りの楽しみ方、昔からある神田祭に新しい楽しみ方を提案できればと思います」
■「伝統があるからこそ、新しいことができる」 時代に合わせ祭りのかたちを模索
4月22日に神田明神で開かれた「神田祭ラボ」発表会では、生中継などが見られる「神田祭ライブ」や、現在の地図と古地図を比較したり、江戸時代の祭りや神社の解説、江戸料理のエッセンスが加えられた神田近辺のグルメ情報などが読めるアプリ「神田祭ぶらり」などがお披露目された。
「神田祭ぶらり」の画面。神田近辺のグルメ情報(左)や古地図が読める
神田明神の権宮司・清水祥彦さんは挨拶の中で、祭りに参加したことがある人が少なくなっていると説明。その上で「祭りは人との縁を結べる場所。でも、今の社会は孤立化が進み、他人との縁を結びにくい。スマホを通して若い人たちも祭りに参加できるような仕組みができれば」と話した。遷座400年の歴史を持つ神田明神も、21世紀ならではの「祭り」のかたちを模索しているようだ。
権宮司の清水祥彦さん
神田明神といえば、近年は「ラブライブ!」などのアニメ作品との異色コラボで話題だが、こうした「コラボ」は今に始まった事ではないらしい。
アニメ「ラブライブ!」と神田祭のコラボ絵馬やお守り
2017年は「ご注文はうさぎですか?」「ソード・アート・オンライン」とコラボする(写真はAnimeJapan2017)
明治期には、神田祭と歌舞伎役者がコラボした錦絵もあった。資料館に展示されている実物を見せてもらうと、神田祭の山車とともに市川團十郎・尾上菊五郎・市川左團次(團・菊・左)の姿が描かれていた。
神田明神資料館で神田祭の歴史を解説する岸川雅範さん
神道学の博士号を持つ神田明神・権禰宜の岸川雅範さんは「伝統があるからこそ、新しいことができます」と語る。
「ラブライブ!とのコラボも100年後には歴史になる。新しいことは、どんどんやってみる。もし廃れても、それは神社に合わなかっただけということ。まずはやってみることが大事だと思います」
※13日「神幸祭」14日「神輿宮入」の巡行路はこちら。
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