(UPDATE 2017/05/10 11:08)
朴槿恵前大統領の罷免に伴って実施された韓国大統領選は5月10日に開票が終了し、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)氏(64)が当選した。中央選挙管理委員会は、午前8時に全体委員会議を開いて開票結果を確定し、文氏の当選を正式決定。これを受けて文氏は即時、第19代韓国大統領に就任した。
文氏の当選で、韓国では約9年ぶりに保守系から進歩系への政権交代が実現した。文氏は前回の大統領選で朴前大統領に小差で敗れており、2回目となった今回の挑戦で雪辱を果たした格好だ。
中央選挙管理委員会の発表として、聯合ニュースが報じたところによると、10日午前に開票作業は終了し、文氏の得票率は41.08%。2位の保守系「自由韓国党」の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏は24.03%と、文氏の圧勝となった。投票率は77.2%だった。
朝日新聞デジタルによると、文氏は9日夜にソウル中心部で演説。「正義感あふれる国、統合の国、原則と常識が通じる国らしい国をつくるため、共に行動してくれた偉大な国民の偉大な勝利」と語った。その上で、「明日から私は、国民みんなの大統領になる」と勝利を宣言した。
その上で文氏は、「私を支持していなかった人のためにも働く、統合大統領になる」とも語り、他の候補者や、自身を支持しなかった有権者とも協力する姿勢を示した。
集まった支持者と握手する文氏
集まった文氏の支持者たち
文氏に祝意を伝える安煕正(アン・ヒジョン)・忠清南道知事
通常、韓国大統領選の当選者は約2カ月の準備期間を経て就任するが、今回の選挙は朴前大統領の罷免に伴うもので、「大統領が不在」という緊急事態の中で実施された。そのため異例だが、文氏は韓国中央選挙管理委員会が当選者を正式決定する10日、韓国大統領に即日就任した。
聯合ニュースの報道によると、文氏は10日午前にソウル市内の「顕忠院」(歴代大統領らが祀られている国立墓地)を訪問した後、国会で大統領就任の宣誓をする見通し。また、韓国軍の合同参謀本部議長(制服組トップ)とも話す予定があるという。
「共に民主党」の朴映宣(パク・ヨンソン)共同選挙対策委員長は、ケーブルテレビ局JTBCのインタビューに対し、「(文氏側が10日に)大統領秘書室長の内定者を発表する予定だ」と話した。また、朴委員長は「首相候補者についても、文氏が念頭に置いている人物がいるようだ」とした上で、「しかし、10日に発表することかどうかは分からない」と語った。
韓国では、首相の任命には国会の同意が必要。与党となる「共に民主党」は、一院制の国会で定数300の約4割に当たる119議席であり、過半数は占めていない。他の政党の協力が得られなかった場合、国会における首相の同意手続きの難航が予想される。
▼「当確」に喜ぶ文在寅氏と支持者たち(画像集)▼
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