マクロン氏投票に流れようとした世論のけん制を目論む、メランション氏の発言の影響だろうか。あるいは決選投票に向けたキャンペーンの前半戦でいまひとつ精彩を欠く、マクロン氏陣営への失望の表われだろうか。
第1回投票のあった4月23日以降、5月7日に行われる第2回投票(決選投票)で、棄権あるいは白紙投票を行おうとする動きが、「フランス・アンスミーズ(服従しないフランス)」党を率いるジャン=リュック・メランション氏の支持者と、共和党の候補者だったフランソワ・フィヨン氏の支持者の一部で活発になっている。
フランスの雑誌『Paris Match』が発表した最新の世論調査に基づいて作成された、以下の2番目のグラフ(1番目は決選投票に参加する意志の推移)が示すように、4月20日の時点でメランション氏支持者の39%が、5月7日の投票を棄権する意志、あるいは投票に行くか決めかねている心境を表明している。これはその週の月曜日(4月17日)と比べて9ポイントの上昇。フィヨン氏の支持者の31%も同様の意志を示しており、こちらも5日間足らずのあいだに5ポイント増加している。
グラフ上段:決選投票に参加する意志、下段:棄権/白紙投票をする意志。調査期間は4月17日(月)〜4月21日(金)。
さらに驚くべきは、社会党の候補だったブノワ・アモン氏の支持者のあいだでも投票棄権の動きが広まっていることだ(5ポイントの上昇)。アモン氏は決選投票でのルペン氏当選を阻止するべく、左派政党が一致団結してマクロン氏へ投票することを支持者たちに呼びかけていた。ちなみにこの呼びかけに反対していたのは社会党のマルティーヌ・オブリー氏のみで、去年の同党公認候補を決める予備選で前大統領のオランド氏と接戦を繰り広げたこのリール市市長は、「打倒・国民戦線」を掲げる一方で、マクロン氏への投票呼びかけも拒否していた。
理屈の上では、有権者たちのあいだで大統領選の最終候補者2名への支持率に変化はない。
とはいえ、メランション氏とフィヨン氏の支持者のあいだで広まるこうした投票棄権の動きは、ルペン氏の躍進にさらなる拍車をかける恐れがある。なぜなら、「国民戦線」への投票禁止を呼びかけていた両氏を支持する有権者の票が失われるからだ。第1回投票の開票以降、ルペン氏はこうした動きを巧みに利用し、反リベラル左派と右派の有権者たちに集中的に訴えることで、マクロン氏の支持基盤を切り崩そうとしている。
一方のマクロン氏陣営は、中間層の票を取り込むべく、「国民戦線」がこれまでに行ってきた暴挙の数々を非難することに余念がない。折しも、同党の党首代行だったジャン=フランソワ・ジャルク氏が、ナチスによる「ガス室」の存在を否定する自身の過去の発言がもとで、先月28日辞任に追い込まれた。
7日の決選投票に向けたマクロン・ルペン両氏の攻防は、この「投票棄権」の動きをうけて、ますます激しさを増しそうだ。
ハフポスト・フランス版より翻訳・加筆しました。