韓国大統領選で4月25日、JTBC(中央日報系列のケーブルテレビ向けの放送局)主催の大統領選討論会があった。革新系最大野党「共に民主党」候補の文在寅氏が同性愛について問われ、「反対する」と発言したことが波紋を広げている。
軍人権センターの告発で陸軍当局が軍隊内の同性愛者の捜索や刑事処罰を指示したことが明らかとなり、現在、韓国では同性愛をめぐる議論が白熱している。討論会でも候補者から様々な意見が出された。
旧セヌリ党の与党「自由韓国党」候補・洪準杓氏は「軍の同性愛が極めて深刻だ」と指摘し、文在寅氏に対し「同性愛は国防の弱体化につながる。同性愛に反対なのか?」と尋ね、文氏はこう答えた。
問題のやり取りは、動画では0:57からだ。
洪氏「軍の同性愛が極めて深刻だ。軍での同性愛は国防力を弱める。あなたはどう思いますか。」
文氏「はい、そう思います」
洪氏「それで? 同性愛に反対ですか?」
文氏「反対しますよ」
洪氏「反対するんですか」
文氏「もちろんです」
洪氏「ですが、朴元淳・ソウル市長は同性愛パーティーもソウルのそこの前でやっているけど。ソウル市庁前で」
文氏「ソウル広場を使用する権利で、差別はしないということでしょう。差別を禁止するのと、同性愛を認めるのは同じことですか?」
洪氏「いや、国会に提出された差別禁止法というのは事実上、同性愛許容法なんですよ。民主党が提出した差別禁止法がありますが…」
文氏「差別禁止と合法化とを区別できないんですか」
洪氏「いや合法化ではなく…同性愛にははっきり反対するんですね」
文氏「まぁ好きではありません」
洪氏「いや、好きとかじゃなく、賛成するか反対するか聞いているんですが」
文氏「合法化に賛成しません」
このやり取りを聞いた第3野党「正義党」候補の沈相奵氏は次のように指摘した。
「同性愛は賛成や反対といったものではありません。性自認(訳者注:原語では性正体性と表現)は文字通り、個人のアイデンティティです。私は異性愛者ですが、性的少数者の人権と自由は尊重されなければならないと考えます。それが民主主義国家です。差別禁止法は盧武鉉政権の時から推進されて公約としてずっと掲げられてきたのに、いまや後退してしまった文在寅候補にはとてもがっかりしました。」
ハフィントンポスト韓国版「"동성애 반대합니까?"에 대한 문재인의 단호한 답변」より翻訳・加筆しました。