安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が4月27日、モスクワで会談し、エネルギー分野での協力や朝鮮半島情勢、北方領土における共同経済活動などについて話し合った。会談の中でプーチン氏は、サハリンと北海道とをガスパイプラインで結ぶ構想についても協議したと述べた。
ロシア大統領府は両首脳の会談冒頭のやり取りと、会談後の共同記者会見の内容を動画付きで発表した。それによると、記者会見ではまずプーチン氏が発言。エネルギー分野について「ロシアは日本にとって信頼できる化石燃料の供給国であり、日本の液化天然ガス輸入量の約8%を占めている」とした上で、「安倍首相とは、サハリンと北海道とを結ぶガスパイプラインの共同建設構想についても協議した。実現すれば、最短ルート、手ごろな価格で新たなエネルギー供給源を提供できる」と明かした。
また、プーチン氏は福島第一原発原発事故にも触れ、「ロシアは事故からの復興を支援する用意があるし、除染や放射性廃棄物を処理するための最先端技術も提案している」と話した。
その後、プーチン氏は昨年12月に安倍首相と合意した北方領土における共同経済活動についても言及。「南クリル(北方領土のロシア側呼称)でどんな共同活動ができるかを調査するため、日本の官僚、企業関係者の一行がこの夏、島々を訪れるだろう」と話した。また、北方領土の元島民たちが墓参目的で島を訪問するのに航空機を導入することも明かした。プーチン氏は「これは人道的な問題であり、安倍首相と私とで何度も話し合った」と語った。
朝鮮半島情勢について、プーチン氏は「すべての関係国に対し、好戦的な言動の応酬をやめ、建設的な対話を目指すよう呼びかける」とした上で、北朝鮮の核問題を解決するために日ロと北朝鮮、中国、アメリカ、韓国が開催していた6者協議について「一刻も早く復活させることが共通の課題だ」と述べた。
一方、安倍首相は航空機による元島民らの島訪問について、「6月中の天候の良い日に国後島と択捉島の先祖のお墓にお参りしていただきたい」と述べた。また、北方領土を訪問する際、出入域手続きをするのが国後島の古釜布だけに限られていたことについても、「今後は増やすことにします」とし、8月の実現を目指すと述べた。また、安倍首相は北方領土における共同経済活動の事例として、魚やウニの養殖、自然を生かした観光などを挙げた。
安倍首相はまた、北朝鮮問題とシリア問題についても両国が協力することで合意したことを明かした。
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