全米およそ200カ所で4月15日、ドナルド・トランプ大統領の納税申告書の公開を求めるデモ「タックス・マーチ」があった。
1976年にリチャード・ニクソン元大統領が監査を受けて以降、これまで大統領選候補者は自身の透明性を示すため自発的に納税申告書を公開してきたが、トランプ氏は頑なに拒否している。
「タックスマーチ」は、例年納税申告書の締切日にあたる4月15日に実施された。2017年は土曜日となったため、締切日は18日となる。
各地のデモ会場には、トランプ氏に似せたニワトリのバルーン人形「トランプ・チキン」が登場し、デモ参加者たちは納税申告書を公開しないトランプ氏は「チキン(臆病者)だ」と、批判の声を上げた。
カリフォルニア州バークレーではトランプ支持者と反対派が衝突した。少なくとも21人が身柄を拘束され、催涙スプレーなどで2人が負傷した。
トランプ氏はイースター(復活祭)の16日、自身の納税申告書の公開を求める声があることに疑念を表した。15日に全米各地で起こった公開を要求する抗議活動を、「誰かが金を払ってやらせたもの」だとし、調査すべきだと主張した。
トランプ氏は16日午前、ツイートを連投して、選挙後の反トランプデモの妥当性に疑問を投げかけた。さらに「金を払って少数の組織的デモ活動をやらせた」人物を調査して特定するよう要求した。
私は共和党が選挙人団を難なく獲得するという、神業に近いことをやってのけたんだぞ! 今になってまた納税申告書の件を蒸し返すのか?
昨日一部の連中が組織的にやったデモ行進には、金を払って雇った黒幕がいるのは間違いない。誰かが調べた方がいい。選挙は終わったんだ!
15日の抗議活動は、1月の「ウイメンズ・マーチ」以来最大のデモの1つだった。主催者発表では、首都ワシントンD.C.では2万5000人以上、ニューヨークでは2万人が参加したという。
「タックス・マーチ」では、納税申告書も同等の財務情報も公開していないトランプ氏を非難した。反トランプ派によると、トランプ氏が申告書の公開を拒むのは、脱税やロシア政府との資金的なつながりなど、金銭上の不祥事を隠ぺいしている可能性があるという。
トランプ氏の過去の納税については、2015年に大統領選への立候補を表明して以来、有権者の関心の的だった。民主党員や一部の共和党員たち、そして多くの一般市民が、過去40年間の大統領候補が慣習だった納税申告書の公開を要求していた。
トランプ氏はそうした要求をかわしてきた。大統領に就任後2日目には、ホワイトハウスのケリーアン・コンウェイ大統領顧問が「人々の興味がないから、大統領は納税申告書を公開しない」と語った。
公開を拒否し続けたトランプ氏は、現在内国歳入庁(IRS)の監査が入っているために納税申告書を公開できない(IRSは、監査は納税申告書の公開を妨げるものではないと言っている)として、何か月もの間この問題を避けてきた。民主党候補だったヒラリー・クリントン氏が私用メールアカウントで送受信したメールを公開したら、自分の納税申告書も公開すると約束してもいる。
ニューヨークタイムズは2016年10月、大統領候補だったトランプ氏の1995年の納税申告書のうち3ページを入手したと報じた。申告書を見ると、9億1600万ドル(約1051億円)の損失を計上している。申告書の内容を調査した専門家によると、20年間にわたって個人所得税の支払いを回避するための措置だった可能性がある。
トランプ氏は、ニューヨークタイムズの報道の1週間後、2016年10月9日の大統領選討論会で巨額の控除を受けていたことを認めた。「控除は素晴らしいことだ」とトランプ氏は語ったが、その前に「私は税金を払っている」と主張している。
NBCテレビは3月14日、トランプ氏の2005年度連邦確定申告書の写しを公開し、所得額は1億5000万ドル(当時のレートで約172億円)で、連邦所得税の納税額は3800万ドル(約43億6000万円)だったと報じた。
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
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