アメリカ海軍の第1空母打撃群がシンガポールから朝鮮半島に向けて航行していると4月9日、ロイターが当局者からの話として報じた。
第1空母打撃群は、原子力空母カール・ビンソンを擁する戦闘部隊。背景には、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発への懸念と牽制があるとみられる。北朝鮮は5日、同国東部からから日本海に向かって弾道ミサイル1発を発射している。
当局者は匿名を条件に、ロイターの取材に対して「(朝鮮半島への)プレゼンス(存在感)を高める必要性を感じている」と説明した。
ロイターによると、アメリカ海軍の第3艦隊は8日の声明で、「部隊は北に航行するよう指示されたが、目的地は明らかにされていない」「当初予定されていたオーストラリアへの寄港ではなく、西太平洋での作戦が想定される」としていた。
CNNによると、朝鮮半島近海にアメリカの空母が派遣されること自体は珍しくない。アメリカ軍は、同半島周辺の不穏な動きを牽制するため、これまでにも軍艦や航空機などを定期的に展開。カール・ビンソンも3月、韓国軍との合同演習に参加していた。
■トランプ大統領、中国政府に圧力か
アメリカは、北朝鮮と関係の深い中国政府に対し圧力を強めている。ドナルド・トランプ大統領は7日、フロリダ州で開かれた米中首脳会談(2日目)で、習近平国家主席と北朝鮮問題について意見交換をした。朝日新聞デジタルによると、トランプ氏は「北朝鮮と取引がある中国企業を制裁対象にする案を検討していることを伝え、北朝鮮が核開発をやめるように中国が圧力を強めるよう求めた」という。
会談後、トランプ氏は「初めての直接会談で米中関係は大きく前進した」と指摘。「将来起こりうる悪い問題が解決されるだろう」と両国の協力強化に期待を示した。
■安倍晋三首相「中国の対応を注目している」
9日午前、安倍晋三首相はトランプ大統領と電話会談した。会談後の記者会見で安倍首相は、トランプ氏と北朝鮮問題について協議したことを明かし、「中国の対応を大変注目をしていること、そして日米が協力して対応していくことが重要であり緊密に連携していくことが大変重要であるということ、また日米韓の結束が重要であるということについて、完全に一致いたしました」と述べた。
■トランプ氏「北朝鮮はとても行儀が悪い」 3月にTwitterで不満
ロイターによると、トランプ政権の国家安全保障問題担当の補佐官は、北朝鮮の核・ミサイル計画を抑制するための「アメリカの選択肢の見直し」を完了している。これには経済・軍事措置が含まれるが、北朝鮮を制するよう中国政府に圧力をかけることを重視している。
アメリカのティラーソン国務長官は3月、「米朝枠組み合意」(1994年)を基調とした歴代政権の対北朝鮮政策について、「20年にわたって失敗したアプローチを取ってきた」と批判。「戦略的忍耐」の時期はすでに終わり、同国の核開発などを含む脅威に対し、「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」と発言。今後、軍事的な措置を取り得ることを匂わせた。
同時期にトランプ大統領も「北朝鮮はとても行儀が悪い。何年にもわたってアメリカを手玉にとってきた」「中国政府は、ろくに助けになることをしてこなかった」と自身のTwitter上で発言。北朝鮮と中国への不満を募らせていた。
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