世界的な電子楽器メーカー「ローランド」(静岡県浜松市)の創業者、梯郁太郎(かけはし・いくたろう)さんが4月1日、87歳で死去した。ロックバンド「ゴダイゴ」のドラマーで、梯さんと親交が深かったトミー・スナイダーさんが、Facebookで明かした。
トミーさんは以下のように梯さんの冥福を祈った。
「ローランド創業者、TR-909とTR-808の生みの親、MIDIのゴッドファーザー、38年間に渡って私とコラボレーションした人物で、私の第二の父親だった梯郁太郎さんが87歳で亡くなった。とてもファニーで素晴らしくて、才能に恵まれていた。音楽と楽器への彼の貢献は、世界中の何百万人もの人を感動させた」
梯さんは、1930年大阪生まれ。1954年に、電器店のカケハシ無線を開業。1960年に電子楽器製造会社のエース電子工業(株)を、1968年に米国ハモンド社との合弁会社を設立。1972年両社を退社し、ローランドを創業した。
1980年代に梯さんのリーダーシップの下で開発された「TR-808」「TR-909」「TB-303」「SH-101」「Juno-106」などの電子楽器は、現在でもテクノ、EDMなどクラブミュージックの「定番」として使われ続けている。
Roland TR-909
Roland Juno-106
また、梯さんは違うメーカー同士で電子楽器を繋げる世界共通規格「MIDI(ミディ)」の誕生に尽力した。1983年、世界的な楽器トレードショー「ウィンターNAMM ショー」にて、初めてMIDIを披露。ローランド製品とシーケンシャル・サーキット社の製品をMIDIでつなぎ、音出し実験をした。 これが電子楽器の新しい幕開けとなった。この貢献により、2012年にグラミー賞の技術賞を受賞している。
2013年に梯さんは、経営陣との方針の違いが明確になったことで、ローランドの全ての役職を退任。浜松市内で新たなメーカー「ATV」を設立した。ATVでは映像機器、新しいコンセプトのドラムマシン「aD5」を開発するなど精力的に活躍していた。
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