「こども保険」とは? 小泉進次郎氏ら、保育無償化の財源に提案

小泉進次郎・農林部会長ら自民党の若手議員による「2020年以降の経済財政構想小委員会」は3月29日、保育や幼児教育を無償にするための「こども保険」を創設する提言をまとめた。
時事通信社

小泉進次郎・農林部会長ら自民党の若手議員による「2020年以降の経済財政構想小委員会」は3月29日、保育や幼児教育を無償にするための「こども保険」を創設する提言をまとめた。教育無償化の財源として、現在の社会保険料に上乗せして資金を集める仕組みで、党内に浮上している「教育国債」の対案だ。朝日新聞デジタルなどが報じた。

■「こども保険」のプランとは…

時事ドットコムによると、「こども保険」として社会保険料率を0.1%上乗せすることで3400億円を確保できると試算。未就学児に1人当たり月額5000円を支給し、子育て世帯の負担軽減を目指す。将来的には上乗せ分を0.5%に引き上げて1兆7000億円を確保。助成を月2万5000円程度に拡大することで、保育・幼児教育を実質無償化したい考えだという。

小泉氏は29日の記者会見で「子どもたちのことを社会全体で支えるというメッセージをしっかり伝える」と述べ、6月に政府がまとめる「骨太の方針」にこども保険案を反映させ、早期の実現をめざす考えを示した

将来世代からの借金となる国債発行を回避できるのが利点だが、小さな子どもがいない世帯にとっては、保険料の負担だけが増えることになる。「負担だけが増える就学中の子どもがいない世帯の理解は得られるのか」と会見で問われた小泉氏は、以下のように答えたという。

「子どもがいない人も、将来、社会保障の給付を受ける側になる。社会保障制度の持続性を担保するのは若い世代がどれだけいるかだ。若い人を支援するということは子どもがいる、いないに関係なく社会全体の持続可能性につながるということを説明していく必要がある」

自民の「こども保険」構想 早期実現へ働きかけ | NHKニュース 2017/03/29)

■自民党内では「教育国債」案が浮上していた

安倍政権は、経済財政運営方針を定める2017年の「骨太方針」の中に、教育無償化の財源確保を盛り込む方向で調整を始めている。

この教育無償化について、自民党内では財源確保のための検討チームがすでに活動。文部科学大臣経験者の下村博文氏が旗振り役になって、用途を教育に限定した「教育国債」を発行する案が浮上していた。

ロイターによると、教育国債が最も現実的な手法との意見が多数となっており、幼児教育から大学までの無償化に未来投資の観点から、年間5〜10兆円規模を念頭におく意見が出ていた。

しかし、新たな国債発行は財政負担を伴う。そのため、財政健全化を目指す財務省などから批判が出ていた。財務省出身の鈴木馨祐(すずき・けいすけ)青年局長は以下のように、教育国債を批判している。

「将来、消費税率を20%以上に上げないといけないといわれ、高齢化で医療費も今後上がることを考えれば、すでに国民負担はぎりぎりの状況だ。そこに新たに教育国債をつくれば、教育への支出も増えるが、借金も増やすことになる」

【ニッポンの議論】「教育国債」 新たな財政負担 法改正で対処可能か - 産経ニュース 2017/03/26)

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