小学校の道徳の教科書に対する初の検定があり、「パンを和菓子に置き換えた」とする報道が話題となった。
2018年4月から小学校の道徳は、「特別の教科」に格上げされ、通知表に評価も記述される。これまで「副読本」として使われてきたテキストも教科書となり、文部科学省の教科書検定の対象となった。朝日新聞デジタルによると、申請した8社の66冊(別冊なども含む)に対し、文科省は244件の検定意見をつけ、出版社はいずれも修正した。
その検定内容を、NHKニュースは以下のように伝えた。
小学1年生のある教科書では、申請段階では、物語に友達の家のパン屋を登場させていましたが、「国や郷土を愛する態度」などを学ぶという観点で不適切だと意見がつけられ、教科書会社は「パン屋」を「和菓子屋」に修正しました。
これについて、教科書会社は「日本文化であることをわかりやすくするため和菓子屋に修正した」と話しています。
(「道徳」教科書の初検定 8社すべてが一部修正し合格 | NHKニュースより 2016/03/24 16:06)
朝日新聞デジタルによると、東京書籍の小学1年の教科書に登場する「にちようびのさんぽみち」という教材だという。
Twitterでは「#パンを和菓子に置き換える」というハッシュタグが盛り上がり、大喜利状態となっている。
■そもそもどんな経緯が?
戦前は学校で、教育勅語を基本とする「修身」の教育が行われていたが、国家主義的、軍国主義的だとして終戦後にGHQによって撤廃された。しかし1958年の学習指導要領改定で、小中学校で週1時間「特別の時間」として、評価の対象とならない道徳の授業が復活した。(学校における道徳教育の変遷、教科化が目指すものとは|ベネッセ教育情報サイト)
道徳の教科格上げを目指す動きは以前からあったが、「子どもたちの内心を評価することはできない」などの反対論も根強かった。しかし第2次安倍政権の2015年に、全国でのいじめ問題の多発や「家庭の教育力の低下」などを理由に、検定教科書を導入する「特別の教科」化が決まった。小学校は2018年、中学校は2019年から実施される。
【訂正】2017/03/25 11:40 当初の記事で「和菓子をパンに置き換えた」としていましたが、正しくは「パンを和菓子に置き換えた」でした。