アメリカ連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官は3月20日、下院情報特別委員会の公聴会で、アメリカ大統領選でトランプ陣営とロシア政府が接触していたという疑惑について、2016年7月から犯罪捜査に着手していたことを初めて明言した。
トランプ氏が民主党大統領候補ヒラリー・クリントン氏に勝利するよう手助けするために、ロシア政府が大統領選に干渉したと情報機関が結論づけた後、トランプ政権とロシアとの接触疑惑がこれまで連日のように報じられた。
これまでのところ、トランプ政権とロシア政府が共謀したという証拠は何もない。しかし、大統領の陣営幹部の一部が、ロシア当局者と会談したという報道が流れた(ホワイトハウスは報道を否定している)。マイケル・フリン氏は2月、この件をめぐり国家安全保障問題担当補佐官を辞任した。またジェフ・セッションズ司法長官は3月1日のワシントンポストの報道で大統領選中にロシアの大使と2度接触したことが明らかになり、司法省が実施する大統領選のロシアの干渉に関する調査から外れた。議会の指名承認公聴会で、セッションズ氏は「ロシアとの接触はない」と否定していた。
ジェームズ・コミー長官は20日、FBIが調査していることを初めて公式に認めた。
「FBIは情報機関の使命として、2016年の大統領選へのロシア政府の干渉を調査している。司法省からは調査を認める権限を与えられている」と、コミー長官は下院情報特別委員会の公聴会で述べた。「この調査には、トランプ氏の選挙陣営とロシア政府のそれぞれ関連した人間が、どういう結びつき方をしていたのか、そしてトランプ氏の選挙陣営とロシア政府の企ての間に、何らかの協調があったのかどうか、という調査も含まれている」
今後の捜査についてコミー長官は明言を避けたが、完了にはまだ時間がかかると示唆した。これまでに調査が実施された8カ月間は、情報機関の捜査としては「かなり短い期間」だと、コミー長官はコメントしている。
情報機関は1月、ロシア政府がトランプ氏の当選を後押しする目的で民主党の有力メンバーや関係者にハッキングを仕掛け、選挙に不利な情報を流出させたと結論を下した。しかし、トランプ氏本人や選挙陣営がロシア政府の活動に気づいていたか、または共謀関係にあったのかについての言及はなかった。
「ご存知の通り、私たちの任務は進行中の調査、特に機密事項を含む調査の存在を確認することではない」とコミー長官は語った。「しかしそれが公共の利益に関係するような通常と異なった状況では、そうするのが適切かもしれない。これはそのような状況の1つだといえる」
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
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