アメリカの子供向けテレビ教育番組「セサミストリート」に新しいマペット(人形)が加わった。自閉症のある女の子、ジュリアだ。
ジュリアは、赤毛でお気に入りのうさぎのぬいぐるみを持っている。ジュリアは2015年、セサミストリートのストーリーブックに初めて登場した。2017年4月からは、ケーブルテレビ「HBO」と公共放送局「PBS」でテレビデビューする。
アメリカでは自閉症の子供が増えている。アメリカ疾病予防管理センターの調査によると、学校に通う子供68人に1人に自閉症の症状がある。
セサミストリートの制作者たちは、ジュリアをテレビに登場させることで、子供たちが自閉症の友人とどう遊んだらいいのかを理解する手助けになればと考えている。
自閉症の子供たちにとっても、自分と共通するキャラクターがテレビに登場することは心強いだろう。
ジュリアが登場する第1回のエピソードでは、ジュリアとビッグバードの間でちょっとしたいざこざが発生する。
ジュリアとビッグバードは、アビーとエルモの紹介で出会うのだが、ジュリアはビッグバードと握手することをためらう。それを見たビッグバードは、ジュリアに嫌われていると思って悲しむ。しかしエルモはビッグバードに、ジュリアには自閉症があると説明し、こう言う。「ジュリアは他の人とちょっとやり方が違うんだよ」
ジュリアをつくった番組の作家クリスティーナ・フェラーロ氏は、CBSのテレビ番組「60ミニッツ」のインタビューで、自閉症のある子供たちが直面する現実を伝えたいが、ジュリアを発達障害を持つ子供たちが描かれがちなキャラクターにするのは避けたい、と語った。
「自閉症は、ある一つのタイプに限定されるものではありません。自閉症のある子供たちは、それぞれ異なります。よく、こう言います。『ひとりの自閉症のある人に出会ったとしたら、それはひとりの自閉症のある人に出会ったに過ぎない』と」
しかしそれでも、自閉症のある子供たちが見せる行動や表現方法を、ジュリアを通して伝えたいと考えている制作者たちは、どういった表現方法が一番いいのか、自閉症を持つ子供がいる家族をサポートする団体に相談しながら探っている。
第1回のエピソードでは、ジュリアはビッグバードとの握手を拒む以外にも、大きな音に敏感に反応したり、ゲーム中に興奮したりする。
第1回のエピソードで、セサミストリートが伝えたいメッセージは「インクルージョン」です。エルモがこう言います「みんなジュリアのことがとても大好きだよ。彼女は本当に特別なんだ」
ジュリアを扱う人形師はステイシー・ゴードン。彼女の息子には、自閉症がある。ゴードンは、息子がまだセサミストリートを見る年齢の頃に、ジュリアががいたら良かったのにと60ミニッツのインタビューで語った。
「息子の友人たちが、テレビを通して息子と同じような行動をするキャラクターを知っていたら、学校で息子の行動を目にしても、驚かなかったかもしれません。それに、遊ぶ時には息子はみんなと違う行動をすることも知っていて、それでいいんだと考えてくれたかもしれませんね」
ハフィントンポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。
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