アメリカ上院情報特別委員会は3月16日、バラク・オバマ前大統領がトランプタワーを盗聴していたとするドナルド・トランプ大統領の主張を立証する証拠はないと発表した。
「入手可能な情報に基づくと、2016年大統領選の前にも後にも、アメリカ合衆国政府のいかなる機関においても、トランプタワーが監視の対象とされたことを示すものはない」と、特別委員会のリチャード・バー委員長(共和党)とマーク・ウォーナー副委員長(民主党)は声明で述べた。
バー委員長は15日、取材陣に「トランプ氏の主張を深刻に受け止め、結論を出す前に何らかの根拠となる書類が存在しないか、全ての連邦政府機関を厳重に調べ、聴取した」と語った。
上院情報委員会の正副委員長による声明で、上下両院、民主・共和両党共通の見解として「トランプ氏は主張を裏付ける一切の証拠もなくオバマ氏の盗聴を非難した」と結論づけた。
下院情報委員会のデビン・ヌーンズ委員長(共和党)はトランプ氏の政権移行チームに加わった人物だが、15日、取材陣に対し「Twitterの発言を文字通りに捉えるなら、明らかに大統領の間違いだ」と述べた。情報委員会のアダム・シフ下院議員(民主党)は、「トランプ氏がこのような根拠のない非難をすると、有事の場合に国民が大統領を信用しなくなる可能性があり、国家安全保障の上で懸念がある」と話した。
下院のポール・ライアン議長(共和党)は16日、「そのような盗聴はなかった」と述べ、国会の情報委員会が行った審査に言及した。
3月初め、トランプ氏は早朝にツイートを連続投稿し、大統領選の前にオバマ氏がトランプタワーを盗聴していたとして非難した。ホワイトハウスは一貫して、司法省がトランプ氏の主張を裏付ける証拠を提供できると強調した。ヌーンズ委員長とシフ議員が定めた期限を過ぎても、ホワイトハウスは「司法省が調査し、答えを示す文書の有無を明らかにするためにまだ時間が必要だ」と主張した。
共和党議員がトランプ氏のツイートから距離を置いているうちに、ホワイトハウスは釈明を始めた。ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官が14日、「大統領は、盗聴という言葉に引用符を付けており、広い意味で、監視や他の活動を含めて使った」と語った。
トランプ氏は15日夜、FOXニュースのタッカー・カールソン氏とのインタビューの中でこの論法を使った。「私が盗聴と言うとき、引用符を付けた」と語った。「実際には、盗聴はかなり古風なものだから、監視やその他の多くの活動を含む。そして誰もその言葉に引用符がついている事実に触れていないが、とても大切なことだ」
上院情報委員会による14日の声明では、「監視」の証拠は見つからなかったと述べ、「盗聴」という、より具体的な言葉の代わりにもっと広い意味を持つ言葉を使った。
上院委員会の声明があっても、スパイサー報道官は16日午後、オバマ氏がトランプタワーの監視を命じたという申し立てを大統領は「固く信じている」と主張した。
異様なほどけんか腰なホワイトハウスのブリーフィングで、スパイサー報道官はFBIが複数の機関による共同調査を率い、トランプ政権関係者とロシア政府の接触の可能性を調べていると、匿名の情報筋の証言を引用した一連の報道を読み上げた。
スパイサー報道官は、トランプ氏の主張が正しかった証拠として、こうした報道を根拠にしている。
しかし、こうした報道はすべて、司法省が調査を進める上で合法的な方法を探っていたことを報じたものだ。いずれも、オバマ氏が大統領としてトランプ氏への監視を命じたとは書いていない。仮にそのような命令があったとしたら、司法省はホワイトハウスからの干渉を受けないという長年の慣習を破る行動となる。
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
▼画像集が開きます
(スライドショーが見られない方はこちらへ)