イギリスのテリーザ・メイ首相は3月16日、2018年から19年の間に2回目となるスコットランド独立の是非を問う住民投票を求めている、スコットランド自治政府首相でスコットランド国民党(SNP)党首のニコラ・スタージョン氏の要求を拒否する考えを示した。
メイ首相は再投票の実施について「今はその時ではない」と述べた。今後イギリスのEU離脱(ブレグジット)や住民投票をめぐり、イギリス政府とスコットランド自治政府が対立する懸念が強まっている。
スタージョン氏は、メイ首相による住民投票阻止は 「非民主的」行為だと述べた。
スタージョン首相は13日、イギリスのEU離脱手続きが完了する前にスコットランド独立を問う2度目の住民投票実施を目指すとの考えを表明している。
スコットランドの首都エディンバラにある首相官邸「ビュートハウス」でテリーザ・メイ首相(左)を出迎えるスコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相
スタージョン氏は来週、スコットランド議会に計画の承認を求める予定だ。しかし、スコットランド自治政府が再び住民投票を行うには、イギリス庶民院(下院)と貴族院(上院)から承認を得なければならない。
メイ首相はITVのインタビューに、「私たちは、これからの関係がかかったEUとの交渉にすべてのエネルギーを注ぐべきです」と述べた。
メイ首相はさらに、「スコットランドの独立を問う住民投票について議論をしながらEU離脱交渉をするのでは、スコットランドにとってもイギリスにとっても、最良の条件を取り付けることは難しくなるでしょう」と指摘した。
「そして何より、スコットランドのみなさんにとって不利だと思います。なぜなら、離脱交渉が終わる前に住民投票を実施すれば、イギリスとの将来の関係はどうなるのか、また独立以外にどういった選択肢があるのかといった、判断に必要な情報を欠いた状態で、極めて重要な決断を下さねばならなくなるからです」
住民投票の再実施にふさわしい時期はいつかと質問されると、メイ首相は「今ではありません」との答えをくり返した。
スタージョン氏は、イギリス議会が2度目の住民投票実施を阻止すれば、スコットランドに「凄まじい反発」が起きるだろう、と警告した。
スタージョン首相は再投票の時期について、2018年秋から2019年春の間に実施したいとしている。
前回の住民投票は2014年に実施されたばかりだが、イギリスのEU離脱が決まったことで、2度目の投票実施を正当化する「決定的な状況の変化」が生まれたと、スタージョン氏は述べた。
スタージョン氏は16日、「今すぐに」住民投票を実施したいと提案しているのではなく、「イギリスのEU離脱条件が明確になり、スコットランドが選ぶことのできるもう一つの選択肢がまだ残っているうちに」実施することを求めているのだと述べ、メイ首相に反論した。
スタージョン氏はTwitterで次のように投稿した。
この期間設定での住民投票実施を可能にするため、 セクション30オーダー(スタージョン首相に住民投票実施を請求する権限を付与している法律)の適用が検討、承認されなければなりません。
もし保守党がそれを拒否すれば、実質的にはEU離脱条件が明確になった際のスコットランドの選択権行使を妨害することになります。
スコットランド政府が明確な委任統治権を有していることを考えれば、これは非常に非民主的な行いであり、保守党がスコットランド住民の審判を恐れている証拠でもあります。
最後に指摘しておきたいのは、メイ首相がもし、EU離脱の条件が来年秋までに決まらないだろうと思っているなら、自分で立てた離脱手続きのスケジュールにも間に合わないと思っているはずだ、ということです
メイ首相はTVインタビューの中で、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの団結は「とても貴重で大切なもの」だと述べた。
「私たちは300年以上にわたる連合関係にあり、素晴らしい歴史を共有してきました。この先も、素晴らしい未来を共に歩めると信じています。スコットランド、そしてイギリス全体にとって望ましい離脱条件を得られるよう、互いに協力し、共に交渉に注力するべきです」
ハフィントンポストUK版より翻訳・加筆しました。
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