トランプ大統領、172億円の所得 2005年の納税申告書が流出

2005年に1億5000万ドル以上の収入があった。
U.S. President Donald Trump looks up during a meeting about healthcare at the White House in Washington, U.S., March 13, 2017. REUTERS/Kevin Lamarque
U.S. President Donald Trump looks up during a meeting about healthcare at the White House in Washington, U.S., March 13, 2017. REUTERS/Kevin Lamarque
Kevin Lamarque / Reuters

アメリカのNBCテレビは3月14日夜、ドナルド・トランプ大統領の2005年度連邦確定申告書の写しを公開し、所得額は1億5000万ドル(当時のレートで約172億円)で、連邦所得税の納税額は3800万ドル(約43億6000万円)だったと報じた。

匿名の情報提供者が、トランプ大統領の伝記を手掛けた調査報道ジャーナリストのデイビッド・ケイ・ジョンストン氏に、トランプ氏の2005年度確定申告書の最初の2ページを公表した。14日深夜、ジョンストン氏はMSNBCのキャスター、レイチェル・マドー氏が司会を務めるテレビ番組「レイチェル・マドー・ショー」に出演し、公表された納税申告書について述べた。

以前から、トランプ大統領に確定申告書を公表するよう求める声が上がっていた。

「この文書が入手可能となりました」と、マドー氏がコメントした。 「これは、一連の流れの中でもっとも重要な出来事かもしれません」。また彼女は、申告書が公開されたことで、監査中のため納税記録は公表できないとしていた大統領の主張に疑問が生じると強調した。

ジョンストン氏は自身のウェブサイト「DCReport.org」で、その2ページについての分析を公開した。このサイトは、14日夜にアクセスできなくなった。

「The Daily Beast」によると、納税報告書では、トランプ大統領が「2005年に1億5000万ドル以上の収入があり、そのほんの一部にあたる税金を通常の連邦所得税として支払った」ことが示されているという。

「The Daily Beast」のデイビッド・ケイ・ジョンストン記者は、トランプ大統領の2005年の連邦所得税申告書の最初の2ページと思われる文書を入手し、その分析を自身のウェブサイト「DCReport.org」で公表した。「The Daily Beast」はこれらの文書を独自に検証することはできなかった。

この文書では、トランプ氏とメラニア夫人が通常の連邦所得税として530万ドル(約4億円)、すなわち4%に満たない金額を納税していることを示している。しかし、トランプ夫妻はいわゆる「代替ミニマム税(AMT)」として、3100万ドル(約35億6000万円)を追加で納税した。トランプ氏は以前からこの税の廃止を求めている。

ホワイトハウスは声明を発表し、トランプ大統領は「法的に求められる以上の税金を支払う義務はない」と述べた。

ホワイトハウスからの声明は以下の通り。

マドウ氏の番組が報じたトランプ氏の納税申告に対するホワイトハウスの声明

あなたたちは視聴率を取るために必死だ。法を犯してまで、10年以上前の2ページほどの所得税申告書をニュースにしたいとは。

大統領に選出される前、トランプ氏は世界で最も成功した実業家の1人だった。彼の企業、家族、従業員たちに法的に要求される以上の税金を支払う義務はない。

報道されているように、トランプ氏は3800万ドルを支払った。建設事業による多額の減価償却費を差し引いた、1億5000万ドル以上の所得に対する税額だ。それと同時に、売上税や物品税、雇用税など、数千万ドルの税金を納めている。この違法に発表された申告書がそれをまさに証明している。この正確な所得額、納税額にもかかわらず、納税申告書を盗み、公開するのは完全に違法行為だ。不誠実なメディアはこの計略を続ければよい。そうしているうちにも大統領は、すべてのアメリカ人のためになる税制改革を含む課題に力を注ぐだろう。

トランプ氏の過去の納税については、2015年に大統領選への立候補を表明して以来、有権者の関心の的だった。民主党員や一部の共和党員たち、そして多くの一般市民が、過去40年間の大統領候補が慣習だった納税申告書の公開を要求していた。

トランプ氏はそうした要求をかわしてきた。大統領に就任後2日目には、ホワイトハウスのケリーアン・コンウェイ大統領顧問が「人々の興味がないから、大統領は納税申告書を公開しない」と語った。

公開を拒否し続けたトランプ氏は、現在内国歳入庁(IRS)の監査が入っているために納税申告書を公開できない(IRSは、監査は納税申告書の公開を妨げるものではないと言っている)として、何か月もの間この問題を避けてきた。民主党候補だったヒラリー・クリントン氏が私用メールアカウントで送受信したメールを公開したら、自分の納税申告書も公開すると約束してもいる

ニューヨークタイムズは2016年10月、大統領候補だったトランプ氏の1995年の納税申告書のうち3ページを入手したと報じた。申告書を見ると、9億1600万ドル(約1051億円)の損失を計上している。申告書の内容を調査した専門家によると、20年間にわたって個人所得税の支払いを回避するための措置だった可能性がある。

トランプ氏は、ニューヨークタイムズの報道の1週間後、2016年10月9日の大統領選討論会で巨額の控除を受けていたことを認めた。「控除は素晴らしいことだ」とトランプ氏は語ったが、その前に「私は税金を払っている」と主張している。

討論会の後、トランプ氏の息子エリック氏は、父は「莫大な税金を支払っている」と語った。しかし彼が持ち出したのは、個人所得税ではなく、トランプ氏のファミリー企業「トランプ・オーガナイゼーション」がビジネスで納税した話だった。

2016年9月26日に行われた最初の大統領候補討論会で、クリントン氏はトランプ氏が納税申告書を公開しないことを非難した。申告書を見ればトランプ氏がおそらくほとんど税金を払っていないことがわかるからだ。

トランプ氏は、「それは私が賢いことの証明だ」と反論していた。

ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。

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