トルコとオランダの関係悪化が深刻となっている。トルコのヌーマン・クルトゥルムシュ副首相が3月13日、駐トルコ・オランダ大使の入国を認めないと明らかにしたと、CNNなどが報じた。
トルコのメブリュト・チャブシオール外務相がオランダ・ロッテルダムで開かれた政治集会に参加するため入国しようとしたところ、オランダ側が拒否したため、報復措置を取った形だ。
チャブシオール外相は、オランダ側に拒否した理由を説明するよう求めており、CNNのインタビューに対して「なぜ今回、私はテロリストなのか。この国に住むトルコ人はテロリストなのか」と憤りを語った。
チャブシオール外相がロッテルダムへのフライトを拒否される前にも、ファトマ・ベテュル・サヤン・カヤ家族・社会政策相がトルコ領事館への入館を拒まれ、国外へ退去させられた。
こうしたオランダ側の対応を受け、ロッテルダムではトルコ人の暴動が起きるなど、混乱が広がっている。
ガーディアンによると、暴動を収めるため、オランダ警察は警察犬や放水銃を使った。オランダには、約40万人のトルコ人が住んでおり、その多くが4月16日に実施される憲法改正をめぐる国民投票への投票権がある。
この国民投票が、争いの原因となっている。時事ドットコムによると、象徴的な立場である大統領に、権限を集中させる憲法改正案の賛否が問うものだ。実現には過半数の賛成が必要だが、欧州諸国では独裁に繋がると懸念が広がっている。
チャブシオール外相らは、賛成票を投じるよう呼び掛けるため、集会に参加する予定だった。
トルコ側は、オランダのダン・フェッド・フィシンガ代理大使を外務省に呼び出し、抗議活動をしたトルコ人への"非人道的で不当な"対応や、閣僚2人へ不適切な対応について、正式に抗議した。
トルコ移民を多く抱えるオランダやオーストリア、ドイツといったヨーロッパ各国は、安全性やその他の懸念を理由に挙げ、集会に参加しようとするトルコ閣僚の入国を許可しない措置を取っている。
ところが、トルコ移民はドイツだけでも140万人に上るため、エルドアン大統領は海外にいる有権者を考慮しないわけにはいかず、思惑がぶつかり合っている。
チャブシオール外相は、「オランダやヨーロッパ各国は、国民投票への賛成を呼び掛けるキャンペーンを妨害したいと思っている。国民投票によって、エルドアン大統領にさらなる権力が付与される」と話した。
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