【UPDATE】2017/03/10 12:00
韓国の国会で弾劾訴追され職務停止中の朴槿恵大統領について、韓国の憲法裁判所は3月10日、罷免を認めるとの審判結果を発表した。
朴槿恵大統領は即時罷免され、失職した。決定から60日以内(5月9日)までに大統領選挙が実施される。
1987年の民主化で現在の弾劾規定が導入されてから、罷免されたのは韓国史上初めて。
決定は8人の裁判官(欠員1)の全員一致。
ハフィントンポスト韓国版によると、憲法裁判所は弾劾訴追案で指摘された弾劾事由13個のうち、
- 陰の実力者(崔順実被告)を介入させたことによる国民主権の侵害
- 収賄など刑法違反
が認められるとした。
具体的には、朴大統領が政府系財団「ミル」「Kスポーツ」の設立などの意志決定に関与し「崔被告の利益のため、大統領の地位と権限を乱用した」と判断した。また、朴大統領が青瓦台(大統領府)の公文書を秘書官が崔被告に流出させるにあたり、介入した嫌疑が認められるとした。
また、朴大統領がこれまで、検察や特別検察の捜査に応じなかったことに言及し、今までの言動をミルに「憲法順守の意志が示されていない」と指摘した。
憲法裁判所はこうした点が「到底容認できない、重大な憲法・法律に違反する行為」とする結論を出した。
一方で弾劾事由のうち、
- 公務員の人事に介入したことによる大統領権限の乱用
- 言論の自由の侵害
- 2014年4月のセウォル号沈没事故「空白の7時間」による国民の生存権保護義務違反
は認めなかった。
憲法裁判所は、崔被告の娘、チョン・ユラ氏のアジア大会乗馬代表選考を巡り、文化体育観光省の局長の更迭を指示したとされることや、崔被告の夫による政権介入疑惑を報じた韓国紙「世界日報」社長の更迭圧力をかけたとされることについては、明確な証拠がないとして退けた。
また、2014年4月に死者・行方不明者304人を出した大型旅客船「セウォル号」の沈没事故直後、対策本部に姿を現すまで約7時間かかった「空白の7時間」問題についても、「国民の生存権保護と職務に誠実に励む義務を果たさなかった」とする国会の弾劾事由を受け入れなかった。
朴槿恵大統領は知人の民間人、崔順実(チェ・スンシル)被告らと共謀し、433億2800万ウォン(約42億7800万円)にのぼる収賄や財団への出資強要などを主導したとして、崔被告やサムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)被告らが共犯者として起訴されている。朴大統領は憲法の規定で大統領在職中は起訴されないが、罷免されて民間人となった場合、検察の捜査が再開されることは確実だ。
韓国の国会で過半数を占める野党3党は、弾劾事由書で「国民の財産権や市場経済の秩序、憲法順守義務に違反した」と指摘。2014年4月に304人が死亡・行方不明になった大型旅客船「セウォル号」沈没事故の直後、7時間にわたって動静が不明になった「空白の7時間」についても「国民の生命と安全を保護するための積極的措置を執らなかった職務放棄に等しい」と指摘した。
国会は2016年12月9日、賛成234票、反対56票の大差で弾劾訴追案を可決。憲法の規定に基づき、憲法裁判所が審理していた。
【訂正】2017/03/10 14:05 当初の記事で、セウォル号沈没事故を「2014年6月」としていましたが、正しくは「2014年4月」でした。