フランス・パリ市内に提示されているファッションブランド・サンローランの広告写真に対して、「女性の尊厳を傷つける」「レイプを扇動している」といった批判が寄せられている。
こうした非難の声を受けて、フランスの広告規制当局「ARPP」が同ブランドに注意喚起し、ビジュアルを変更するよう求めた。ロイター通信が3月6日、報じた。
物議を醸している広告では、毛皮のコートを羽織って網タイツを着用したモデルが両脚を大きく開いたポーズをとっている。その他にも、レオタードを着てローラースケート形のハイヒールを履いたモデルが、お尻を突き出して椅子にもたれかかる写真も非難の的となっている。
このような広告ビジュアルに対して、TwitterやInstagram上に怒りの声が広がった。ロイター通信によると、 この広告が「女性の尊厳を傷つける」と指摘する苦情がARPPに50件以上寄せられたという。寄せられた苦情の中には、「レイプを扇動している」と非難する声もあった。
ARPPの最高責任者(CEO)ステファン・マルタン氏は、サンローランの広告写真は広告業界が定める「人の尊厳や品位を傷つけてはならない」というルールに反していると指摘。起用されているモデルの体型も非常に痩せており、ファッションへの関心度が高い女性に悪影響を及ぼす可能性があることも懸念要因のひとつだという。
マルタン氏はガーディアン紙の取材に対し、「サンローランを好きな女性の顧客たちは、この広告のイメージを自分たちと結びつけたいと考えるでしょうか」と語っている。サンローランは8日時点で、この件に関して特に声明は発表していない。
サンローランは、2015年に展開した広告キャンペーンでもあばら骨が浮き出るほど痩せたモデルを起用し、イギリスの広告基準局が提示禁止命令を出している。