シリア内戦の激戦地・アレッポから激しい戦闘の様子をツイートで伝えていた7歳の少女バナ・アラベドさんが、イギリスのメイ首相に「死にかけの子供たち」を救うために薬や水などを配給してほしいと懇願する手紙を書いた。メイ首相への手紙は現地時間3月5日、バナさんのTwitterアカウントに投稿された。
バナさんはこれまでに、アメリカのドナルド・トランプ大統領やロシアのウラジーミル・プーチン大統領に宛てた手紙も公開している。
「メイ首相(@theresa_may)に宛てた手紙です。親愛なるテリーザ・メイさん、どうか私の手紙を読んでください。よろしくお願いします。」
国連人道問題調整事務所(OCHA)は3月5日、シリア北部で激化している戦闘によって、北部バーブ一帯などで新たに約6万6000人の避難民が発生したとの声明を発表した。バナさんと母・ファティマさんは、この発表を受けて嘆願の手紙を書いたとみられる。
手紙には書かれている内容は以下の通り。
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親愛なるメイ首相へ
私はこの手紙を、母に手伝ってもらいながら書いています。私は、シリアの人々を救う支援を求めています。
どうか、薬や医師、水、ミルクを送っていただけませんか?空腹のあまり衰弱し、死にかけている小さな子供たちを見たことはありませんか?私は、彼らを見てきました。
食べ物さえあれば彼らは生きられるのに、誰も気にかける人はいません。私はとても悲しいです。彼らに、食べ物や薬を送ると、どうか私に約束してください。彼らを忘れないでください。
メイ首相、お願いします。
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バナさんは2016年12月中旬、シリア政府軍によって制圧された都市・アレッポから避難し、それ以降もシリアに住む人々が置かれた厳しい状況をTwitterで伝えていた。
これまでイギリス政府は、シリア政府軍などによって包囲された地域に取り残された人々に、人道支援物資を送る120人の国会議員の呼びかけに応じてこなかった。包囲された地域の上空が、シリア軍やロシア軍が飛行する空域であるため、イギリス軍が支援物資を投下するために同空域へ侵入した場合、攻撃を受ける危険があるからだ。
しかし、イギリス労働党の下院議員で、シリアにイギリス軍を派遣する呼びかけを主導してきたアリソン・マクガバーン氏は、支援物資を送る手段は他にもあると主張している。
彼女はハフィントンポストUK版の取材に対し、次のように述べた。
「人道支援という観点において、イギリスは誇りを持って役割を担うべきです。しかし現実は、シリアで助けを必要としている人々に支援物資を送ることが出来ていません。イギリスは、シリアの民間人が必要とする支援を届けるために、先陣を切って空から支援物資を投下する以外の方法を模索するべきです」
「世論はバナ・アラベドさんの主張に同調してきました。イギリス政府は彼らの言葉を聞かなければなりません。もし支援物資を投下しないとしても、何らかの処置を講ずるべきです。私たちは助けを求めている人々を見捨てることをしてはいけません」
バナさんは2017年1月にも、アメリカのトランプ大統領に対しても手紙を書き、シリアの人々への支援を嘆願している。バナさんがトランプ大統領に送ったメッセージは以下の通り。
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あなたは、シリアの子供たちのために何か行動を起こすべきだと思います。
彼らは、あなたの子供たちのようにただの子供で、平和を享受するに値するからです。
お願いです、シリアの子供たちのために何かしてもらえないでしょうか?
もしできるなら、私はあなたのベストフレンドになります。
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2月にもバナさんは、シリアのバッシャール・アル=アサド大統領とロシアのプーチン大統領に宛てた手紙を公開している。その内容はシリア軍やロシア軍による空爆を非難するもので、「爆撃をやめて、私の友達を殺した責任を負って、今すぐ刑務所に入ってください」と書かれている。
ハフィントンポストUK版より翻訳・加筆しました。
■関連画像集「シリア難民の子供たち」
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