アフリカ東部のソマリアで2017年2月末から3月初旬にかけて、大規模な干ばつで飢饉が発生し、3月4〜5日の2日間で少なくとも110人を超える死者が死亡した。
ソマリアのハッサン・アリ・カイレ首相は5日、南西部のベイ地域で48時間に少なくとも110人が飢饉や下痢で死亡した、と述べた。
「遊牧民や家畜にとって厳しい状況だ」と、首相官邸は声明を発表した。
干上がった川底の近くでラクダに水を飲ませる遊牧民の男たちと少年たち。2017年2月24日、ソマリアのデュードにて。ANDREW RENNEISEN/GETTY IMAGES
ソマリアの人道的な危機は、過去6年間で急激に悪化している。ロイター通信によると、2016年の雨季は例年よりも降雨量が少なく、また、2017年春の降雨予想も芳しくないという。
国際連合は、ソマリアの人口のおよそ半分に当たる620万人が深刻な食糧不足に見舞われ、生きるための保護が必要になる、と警告している。世界保健機関(WHO)によると、東アフリカにあるこの国では、36万人以上が極度の栄養不良で、そのうち7万人の子供たちに緊急の救済措置が必要だという。
2月28日、新しく選出されたソマリアのモハメド・アブドゥライ・モハメド大統領は、干ばつを「国家的な災害」と宣言し、国際社会に支援を求めた。
国内で行き場を失った人たちのために設けられたキャンプのテントで談話する男たち。ソマリアのカリン・サルマヨ。ANDREW RENNEISEN/GETTY IMAGES
人道支援組織は、すべての村が作物を失った、と報告している。水と食料の価格は、急激に上昇した。農家や遊牧民の多くは、家畜を失った。特に南部のベイやバクール地域で、賃金労働に頼っている多くの家族は、収入を失った。
清潔な水が不足し、伝染病の危険が増大している。WHOは、約550万人がコレラに感染する恐れがあり、2017年の報告では4000人以上がすでに深刻な下痢を発症している、と報告している。
国内で行き場を失った人々のために祈る男たち。カリン・サルマヨにて。ANDREW RENNEISEN/GETTY IMAGES
AP通信によると、この緊急事態で数千人が家を追われ、食料と水を求めているという。彼らの多くは、首都モガディシュへ向かい、支援組織には大勢の人が押し寄せた。
支援組織は寄付を呼びかけているが、現在のところ、干ばつに見舞われた地域にアクセスするのが難しい場所もあると認めている。
ソマリアの一部の地域では、干ばつが引き起こした被害に暴力が追い打ちをかけている。治安の悪化が、救援を困難にするばかりでなく、人々の行き場を失くし、数年以上に渡って極度の貧困の原因となっている。
政府の運営する診療所で少女を診察する医師。カリン・サルマヨのキャンプ内にて。
干ばつによって、本格的な飢饉の恐れが高まっている。国際移住機関は3日、国際社会に救援を求め、現在の状況は2011年の飢饉と同様のものになる恐れがある、と話した。2011年の飢饉ではソマリアで25万人が死亡した。
「支援がなければ、大勢の人が栄養不良に苦しむ。病気になる危険性が大きく、また、生活を失い、死に至る場合もある」と、国際移住機関は訴えている。
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
▼画像集が開きます
(スライドショーが見られない方はこちらへ)