「チキン・アタック」人気動画の出演者が語る撮影秘話 鶏+忍者+ヨーデル=中毒性高すぎ?

「撮影したことすら忘れてました」

「チキン・アタ~~ック」「ゴー、チキン、ゴ~~~」と裏声で歌う男性の前で、鶏と忍者が熾烈な戦いを繰り広げる――。

1月25日にリリースされた、何ともシュールなYouTubeの動画が、「中毒性たかすぎ」とじわじわ話題になり、3月3日現在で再生回数が600万回を超えています。

こちら、メンバーが渋谷や原宿を回るロングバージョン

制作したのは、2009年にデビューしたアメリカのバンド「グレゴリー・ブラザーズ」。世界各国のミュージシャンとコラボし、YouTubeで紹介するシリーズ「Song Voyage」シリーズの第4弾でした。日本の田舎町で出会った鶏から、チキンヨーデルを世界に広める「タケオ・イシイ」を助けてくれと頼まれる、という設定です。

動画で歌っている石井健雄さんは、ドイツ在住の日本人ヨーデル歌手。以前に鶏の真似をしながらヨーデルを歌う動画が、バイラルサイト「9GAG」に取り上げられて話題になったことがあります。

「石井さんは鶏の歌が有名な方で、日本と言えば忍者だから『鶏と忍者が登場する動画』というコンセプトだったようで、制作会社を通じて出演依頼をいただきました」

と話すのは、忍者の役で出演している「習志野青龍窟」こと五十嵐剛さん(28)。東京・田端に道場を構え、忍術の教室やショーなどをしている「江戸隠密 武蔵一族」の一人で、鶏役の同僚と共に出演しました。話題になるとは思いもせず「撮影したことすら忘れてました」と反響に驚いています。

撮影は2015年9月、埼玉県富士見市の難波田城公園内にある古民家で、一日がかりで行われました。そう、終盤で男性が「助けて、僕の兄が、ふじみで銀行強盗に巻き込まれたんです」と、片言の日本語で助けを求めてくるあの場面。「富士見」という地名は撮影スポットだったんです。

鶏と忍者が戦うという、訳分からん設定に戸惑いながらの撮影。「現場では、大きなスピーカーであの曲を大音量で何回も繰り返し聞きながら撮影して、石井さんもあの場で大声で歌っていました。しばらくあの歌が頭から離れませんでした。確かに中毒性のある歌だな、と思いました」

撮影は、現場で出演者の意見を取り入れながら即興で作り上げた部分が多かったそうです。「当初の監督の構想よりも、戦いの場面に重点を置いたビデオになりました。鶏のコスチュームや、曲のリズムに合わせて戦う場面、草をつかんで投げつけて逃げる場面など、よりリアリティーのある動きが、その場で採用されました。実にクリエイティブな現場でした」

撮影の合間に石井さんは「趣味で始めたヨーデルで、ヨーロッパで成功した」という武勇伝を話してくれたとのこと。「年齢を感じさせない、自信に満ちあふれた方でした。動きも力にあふれていて、ヨーロッパで通じる日本人の強さを知りました」

「武蔵一族」は、幕末に遣欧使節の組頭を務め、横浜開港などの交渉に当たった柴田剛中の家系に代々伝わる武術や忍術を守り伝えているそうです。「海外からのお客さんがチキン・アタックを話題にしてくださることが多くてうれしい。これを機に忍者の世界の歴史を知ってもらえれば」と、五十嵐さんは話しています。

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