初の外国人棋士が誕生する。
将棋の岡田美術館杯女流名人戦の予選2回戦で2月20日、ポーランド出身のカロリーナ・ステチェンスカ女流3級(25)が貞升南女流初段(30)に勝利し、女流2級の昇級を決めた。昇級によってカロリーナさんは正式な女流棋士となる。男女を通じて史上初の外国人棋士の誕生となる。
将棋連盟公式サイトによると、カロリーナさんは1991年生まれ。2008年1月の高校生の時にポーランド語で訳された日本の漫画「NARUTO」で将棋をする場面を見て、興味を持った。インターネット対局を利用して将棋の腕を磨き、ネットを通じて知り合った日本人棋士から来日を勧められたという。
ワルシャワの大学で情報工学(IT)を専攻していたころ、プロ棋士の北尾まどか氏、片上大輔氏らから2週間ほど日本でのホームステイの申し出を受けた。その後、2013年に再来日し、山梨学院大学で勉強。翌2014年に同大学現代ビジネス学部3年に編入、2016年4月には同大学大学院に進学した。
2013年には、女流棋士の養成機関である「研修会」にも入会した。カロリーナさんは山梨から東京の将棋会館へ通い、月2回行われる例会で対局を重ね、2015年6月に「女流棋士仮資格」に該当する女流3級の資格を取得した。
カロリーナ・ステチェンスカさん(ポーランド)=2015年06月28日、東京都渋谷区の将棋会館
女流3級は、取得から2年間で規定の成績を挙げて女流2級に昇級しなければ、資格が剥奪されるきまりだ。
将棋連盟によると、これまでのカロリーナさんの今年度の成績は6勝5敗。本局に勝つと、昇格条件のひとつ「女流名人予選決勝進出」を満たし、女流2級への昇級が決まることになっていた。毎日新聞によるとカロリーナさんは2016年12月、「2017年が最後の年です。学業と両立し、全てを出し切って昇級したい」などと語っていた。
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