ホワイトハウス上級顧問のケリーアン・コンウェイ氏は2月9日、大手百貨店ノードストロームが娘イヴァンカ氏のファッションブランド商品を販売停止したことをドナルド・トランプ大統領が批判したことについて擁護し、「イヴァンカの商品を買いに行きましょう」とアメリカ国民に訴えた。
特定の商品の購入を勧めたコンウェイ氏の発言は、連邦規則に違反する可能性がある。
トランプ大統領は8日、ノードストロームが娘の経営するファッションブランド「イヴァンカ・トランプ」を販売停止にしたことについて、「娘が極めて不当な扱いを受けている」とツイートした。
私の娘、イヴァンカはノードストロームに非常に不公平な扱いを受けている。彼女は素晴らしい人間で、常に私を正しい方向へと向かわせてくれているのに……恐ろしいことだ!
大統領のTwitter上でのコメントは、ホワイトハウス公式Twitterですぐにリツイートされた。
トランプ氏の大統領としての適性と、家族が経営する事業への利益誘導があるのではないかという懸念がさらに高まっている。
コンウェイ氏は9日朝のFOXニュース出演を宣伝に活用し、イヴァンカ氏を「非常に独創的な、才能のある女性です」と擁護した上、「イヴァンカ・トランプ」の商品の購入を促した。
「ネット上で一部の高官がイヴァンカや彼女のブランドを困らせるようなことを言いふらしているのはおかしな話です。にもかかわらず、彼らはトランプ政権で最も傑出した女性を利用しています。最も傑出した彼の娘をですよ。彼女を利用しているんです。彼女は職場で女性が権限を持つことを支持してきましたし、トランプ大統領にもそうするよう促したのです」と、コンウェイ氏は述べた。
「みなさんはそのことがわかっていると思います。イヴァンカ・トランプの商品を買いに行きましょう! 私は買い物が嫌いですが、今日自分で直接買いに行きます」
「イヴァンカ・トランプの店は素晴らしい品揃えです。私もいくつか持っています」と、コンウェイ氏は付け足した。「私はここで、無料でコマーシャルをするつもりです。みなさん、今日買いに行ってください。オンラインでも買えますよ」
コンウェイ氏の発言は「連邦職員が製品を売るために公職を利用することはできない」という連邦規則集の規定に違反した可能性がある。
「連邦職員はどんな製品、サービス、企業を支援するためでも、自分の政府の立場、肩書、公職に関わるどんな権限も利用しないものとし、それを認めないものとする」と定められている。
コンウェイ氏は、政府職員が商品の推奨のために官公庁を利用することを禁ずる法に違反したようだ。連邦規則集第5条2635.702
倫理面から政治家たちを監視する団体「ワシントンDCの責任と倫理を求める市民団体」(CREW)は政府倫理局に不服を申し立て、コンウェイ氏の発言を調査するよう求めた。
「公務員は自己の個人的な利益もしくは他人の個人的な利益のために役職を利用してはならない、と法律は明確に規定しています」とCREW常任理事のノア・ブックバインダー氏は声明で語った。「今日のコンウェイ氏の発言以上に、この種の公職を明らかに濫用している事例を見たことがありません」
「これは現政権が、大統領の家族や支持者たちのビジネスに利益となるように動く新たなパターンで、大いに懸念されることです」と、ブックバインダー氏は続けた。「不幸なことに、アメリカ国民は現在、トランプ政権が一体誰のために働くのか、問い正さなければならなりません。アメリカ国民なのか、それともトランプ一族なのか」
下院の行政監視政府改革委員会に所属する民主党のエライジャ・カミングス下院議員 はコンウェイ氏の発言を「教科書通りの政府倫理法規と法令違反だ」と批判した。
カミングス氏は委員会議長を務める共和党のジェイソン・シャフェツ下院議員に書簡を送り、コンウェイ氏の発言について委員会で『懲戒処分の可能性』について照会するよう求めた。
シャフェツ氏は、「明らかに一線を超えていて容認できない」と語った。
速報:下院委員会議長はホワイトハウス側近のイバンカ・トランプ氏の製品の宣伝は「明らかに一線を超えていて容認できない」と発言。
大統領とその家族が、大統領の地位を利用し利益を得ているとみられる状況について、トランプ政権は言及を避けている。
ホワイトハウスのショーン・スパイサー報道官は8日、トランプ大統領の発言が倫理面で問題となっているのではないかという質問に正面から答えず、「正当なものだ」と述べた。
スパイサー報道官は「イヴァンカ・トランプ」の取り扱いを停止したノードストロームは「娘の名を借りて、大統領の政策に直接攻撃している」と批判し、「大統領は自身の家族を守る権利がある」と主張している。
ノードストロームは「イヴァンカ・トランプ」の取り扱い中止は販売低迷によるもので、トランプ政権への抗議ではないと述べている。
スパイサー報道官は会見で、コンウェイ氏の発言が倫理違反に該当するかどうかについても直接言及しなかった。
「コンウェイ氏はその問題について忠告を受けたが、それだけのことだ」
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
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