オーストラリアのスポーツブランド「Volley(ヴォレー)」が2016年8月に公開した、同性愛カップルやトップレスの若者を描いたキャンペーンCMに賛否両論の声が広がっている。
1939年に創業したVolleyはテニスシューズを看板商品に扱うシューズブランド。議論に上がっているCMはYouTubeに公開されており、若い男女複数人がトップレスで走り回り、同性のカップルが抱き合いキスをするシーンなどが映っている。
また、CMとあわせて広告ビジュアルも公式サイトに掲載された。
Volleyはこのキャンペーンのコンセプトとして、下記のメッセージを公式サイトに掲載している。
私たちは、現在の社会的構造にうんざりしていて、ポリティカル・コレクトネスを追求することも避けます。
私たちは若く、変化を探しています。
私たちはみな同じ太陽のもとに生まれて、自分たちの肌の色に満足しています。だから、誰を愛すべきか、そしてどう振るまうべきなのか、強制しないでほしい。
私たちのキャンペーンは、安全を保つことを最優先にした上で、性表現を祝福しています。そのためセーフセックスを支持し、アンセル社(オーストラリアのコンドーム製造・販売会社)と協力しています。
このキャンペーンが発足してから約5カ月が経った1月20日、オーストラリアのキリスト教系ロビー団体「ACL」がブランドとキャンペーンを「明らかにR指定に該当し、純粋な子供たちに対する配慮を一切していない」として強く批判。キャンペーンに抗議する署名活動をネット上で開始した。
ACLのメンバーであるウェンディ・フランシスは地元メディア「News.com」の取材に応じ、「学校生活に戻る前に新しいスニーカーを求めてネットショッピングをしている子供たちは、この“不適切”なマーケティングをみて困惑するに違いありません」とコメントしている。
一部メディアは、テニスの4大大会(グランドスラム)のひとつである全豪オープンテニスの開催(2017年1月16日〜29日)にあわせてキャンペーンにスポットライトが当てられたと報じた。
Volleyのマーケティング・マネージャーは、このキャンペーンに対してネガティブな反応が返ってくることを予想していたとコメントしている。一方で、このキャンペーンへの批判と同時にLGBTに対して多くの嫌悪が向けられたことも明かし、驚いているという。
マーケティング・マネージャーは、同キャンペーンは大人をターゲットにしたものだと説明した上で、「私たちは女性や男性たちを勇気付けたいんです。彼らに自分の肌に自信を持ってほしいし、彼らが望むままに人を愛してほしいんです」と話している。