「ヒールが似合う人」は女性蔑視か 東急電鉄のマナー広告に賛否

東急が作成した電車マナー広告をめぐって「女性蔑視では」とインターネット上などで議論となっています。

東急電鉄のマナー広告が、「(女性への)見せしめだ」と批判する声が出るなどネット上で議論を呼んでいる。どんな意図で広告を掲載したのか、ハフィントンポストは東急電鉄の広報担当者に取材した。

■問題となった広告とは?

問題のマナー広告は、東急電鉄が1月9日から、駅の構内ポスターとして使用。公式サイトにも掲載している。足を組んだり広げたりして座っている乗客に挟まれた女性が、足を揃えて席に着く写真が使われている。女性が履いている黄色いハイヒールに焦点をあて、「ヒールが似合う人がいた。美しく座る人だった。」というキャッチコピーを添え、周囲に迷惑をかけない「スマートな着席」を呼びかけている。

■ 「お節介で抑圧でしかない」の意見も

この広告を見た人たちからは、「ヒールをはいた女性は足を閉じて座るときれいなんて、お節介で抑圧でしかない」「迷惑なのは両隣の男性なのだからそちらに訴えたほうが良いのでは」などとTwitter上で批判が続出。自作のイラストや他の鉄道会社の広告を引き合いに出し、「もっとダイレクトに伝えるべき。迷惑行為の深刻さが伝わらない」といった表現方法に疑問を投げかける意見も相次いだ。

その一方で、広告に理解を示す声も上がっている。デザインについて「わざと両隣が幅をとる座り方にして、綺麗な座りかたを見せるという皮肉的な意味なので」と好意的に捉えたり、「むしろ褒めながらマナー向上を訴えて秀逸だ」と反論したりする人もいた。

■マナー広告をめぐる議論は過去にも

今回議論が起きている背景には、東急電鉄が2016年9月に掲出したマナー広告の存在がある。車内で化粧する女性の写真に「都内の女性はキレイだ。でも時々、みっともない」との一文を添え、マナーを守るよう呼びかけたところ、「他にも注意することがある」「図星ではないか」などと評価が別れた経緯がある。

■ 東急電鉄「ヒールに特化したわけではない」

ハフィントンポストは1月19日、東急電鉄に電話取材した。広報担当者は、今回の広告について「見た人が共感して周囲への気配りを意識してもらえるような内容になっている」と説明。ヒールに焦点を当てた意図を問われると、「ヒールに特化したわけではない。マナー広告は見過ごされがちなので、印象に残るようインパクトのある表現を使って目を引き付ける効果を狙った」と話している。

東急電鉄は、一般社団法人「日本民営鉄道協会」が行なっている電車内の迷惑行為に関するアンケートの結果を基に、広告の内容を検討している。今回取り上げた「座席の座り方」は、2015年度ランキングで2位となっていた。

担当者は、同社に賛否の意見が寄せられていることを明かした上で、「関心を持ってもらえているので、いただいた意見を踏まえながら広告内容を検討している。内容が偏らないよう、男性モデルも使った広告も過去に作っている」と話している。

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