使用済みの竹箸をおしゃれな家具に 竹を研究するバンクーバーの学生、ベンチャーを立ち上げ

「材料を再利用できるかどうか、捨てる前にもう一度考えてみるのが当たり前になるべきです」

カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州の都市バンクーバーでは寿司や他のアジア料理が広く普及し、普段から竹の箸を使う機会が多い。その結果、使い捨ての箸がほとんどの場合一回使われただけで廃棄されている。

そんな箸が大量に発生することに目をつけたブリティッシュ・コロンビア大学の学生たちが、箸をスタイリッシュで持続可能な家具に変身させる会社「チョップバリュー(ChopValue)」を作った。

「この会社は埋立地行きの原材料を使って、斬新で耐久性に優れる美しい家具をつくります」と、チョップバリューの創業者で、ブリティッシュ・コロンビア大学の森林科学の博士課程学生フェリクス・ベックさんはそう語った。

今までに、150万本の箸が家具として再生されている。

バンクーバーのベンチャー・チョップバリュー製のコースターとテーブルトップ(写真: チョップバリュー)

ベックさんはドイツ出身で、竹の構造に関する論文に取り組んでいる。「箸が竹製であることは知っていましたが、資源になるとは思いもつきませんでした」と、ベックさんはハフィントンポスト・カナダ版の取材に答えた。

ベックさんは、グルメのガールフレンド、タリアさんと一緒に移住してきた時、彼女が使い捨ての箸で引き出しを一杯にしているのに気が付いた。

「ピンと来たのはそれが最初でした」と、ベックは語った。「その考えが頭から離れませんでした」

ブリティッシュコロンビア大学の学生フェリクス・ベックさんは、使い捨て箸を室内装飾に変える会社を立ち上げた。(写真: チョップバリュー)

ベックさんはバンクーバーのレストランから使用済み箸を回収し、ブリティッシュコロンビア大学の研究室に持ち帰り、そこで乾燥させ、塗装し、タイルに圧縮した。

タイルは棚、コースター、テーブルトップ、給仕用トレーに利用できる。下の動画で、竹箸が家具へと変化していく過程が見られる。

チョップバリューはカスタムプロジェクトも設計している。最近、クライアントの依頼でコンドミニアムのバルコニーを作った。

毎日、バンクーバー圏内で10万膳の箸が廃棄されている、とベックさんは推定している。しかし今ではバンクーバー国際空港の人気の寿司店や、ブリティッシュコロンビア大学の学生会館など、レストラン25店舗がチョップバリューの代わりに回収している。

使用済み箸から棚、コースター、テーブルトップに再生する。(写真: チョップバリュー)

「材料を再利用できるかどうか、捨てる前にもう一度考えてみるのが当たり前になるべきです」と、ベックさんは語った。「私にとって、これまで廃棄物と考えられていた材料を利用するのは、ごく普通のことです。資源と捉えたんです」

チョップバリューは、収益を上げる事業に成長中で、フルタイム4人分の雇用を生み出したと、 ベックさんは話した。

しかし、一つだけデメリットがあるという、毎日毎日数10万膳の箸のふるい分けをするので、寿司を見るのがいやになったという。

ハフィントンポスト・カナダ版より翻訳・加筆しました。

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