アメリカ・カリフォルニア州ビバリーヒルズで1月8日行われた第74回ゴールデングローブ賞授賞式で、特別功労賞「セシル・B・デミル賞」を送られた女優のメリル・ストリープが、名指しこそ避けたものの、ドナルド・トランプ次期大統領を批判するスピーチをした。
ストリープはスピーチで「軽蔑は軽蔑を呼ぶ」「暴力は暴力を生む」と述べ、共感を訴えた。特に、2015年の集会でトランプが腕をぎこちなく動かしたしぐさは、障害のある記者を侮辱したものとみられており、スピーチでも引き合いに出された。
しかし次期大統領は、これをおとなしく受け入れなかった。
トランプ次期大統領はニューヨークタイムズのインタビューで、ストリープは「ヒラリー信者」だと一蹴した。そしてすぐに、Twitterに自分の考えを公開した。
トランプ氏はストリープを「ハリウッドで最も過大評価された女優の一人」と呼び、彼女が自分を批判するのは、応援していたヒラリー・クリントン氏が2016年の大統領選で負けたからだ、と指摘した。トランプ氏はまた、障害のある記者をからかったつもりは全くなく「単に彼が『卑屈にふるまう』様子を示しただけ」と主張した。
メリル・ストリープは、ハリウッドで最も過大評価された女優の一人で、私のことをよく知らない。それなのに、昨夜のゴールデン・グローブ授賞式で、私を非難した。彼女は……
大敗したヒラリーの追従者だ。もう100回くらいは言っているが、私は決して障害のある記者を「ばかにした」ことはない(決してそうするつもりはなかった)。単に、彼が……
16年前の話をすり替えて私を悪者にしている。彼が『卑屈にふるまっている』様子をまねしただけだ。なんて不誠実なメディアだ!
トランプ氏が思いやりを欠いた振る舞いを批判されて自己弁護したのは今回だけではない。トランプ氏は繰り返し、自分が所有するビルではバリアフリーを守っており、障害者をからからうことなどするはずがないと弁解している。
トランプが他人への共感が足りないとして非難されるのも、今回が初めてではない。大統領選挙期間中には、心的外傷後ストレス障害(PTSD)で苦しむ退役軍人を「弱い」と指摘することもあった。
ストリープのスピーチは、ゴールデングローブ授賞式場とSNS上で拍手と称賛の言葉で受け入れられた(ただし一部の保守的な批評家を除く)。公民権運動のマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の娘バーニス・A・キングさんも、ストリープが自分の立場を利用して「尊厳と規律」を擁護したことに感謝を示した。
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
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