ロシア・東シベリアのイルクーツクで12月19日(現地時間)、酒の代わりにアルコールを含む入浴剤を飲んだ住民が、少なくとも49人死亡したとロイターなどが報じた。
イルクーツクは、ロシアの首都モスクワから約4000km離れた街。捜査当局の情報によると、住民57人が体調を崩して病院に運ばれたという。
同社によると、体調不良を訴えた57人のうち、49人が死亡した。また、現在入院中の8人も重篤な状態だという。イルクーツクの地方公務員は住民の家を一軒一軒訪問し、体調不良を訴える人が他にいないか確認を進めている。
この事件を受けて、イルクーツク市当局は12月20日、非常事態宣言を出した。
被害が出た商品のボトル
■原因は?
経済の低迷が続いているロシアでは、低所得者が酒の代わりに安値のアルコールを求めるケースが発生しており、今回被害にあった住民も同じように入浴剤をアルコールの代用品として飲酒していた。
BBCによると、住民が飲酒した入浴剤には有毒のメタノールが含まれていたという。この商品は植物のサンザシの香りがする入浴剤として販売されていたが、現地の住民の間では安値のアルコール代用品として知られていた。
AP通信は、被害の原因として、毒性の強い模造品が何者かによって製造されたと報道している。
AP通信によると、ロシア警察が入浴剤の模造品を製造していた地下施設を発見したという。警察関係者の話によると、出回った商品のラベルには、本来の使用用途以外の目的で利用しないよう警告が書かれていた。しかし、成分表示項目には有毒のメタノールではなく、消毒用アルコールとして販売されているエタノールが成分に含まれていると記載されていたという。
ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は、この事件について「おそろしい悲劇だ」と声明を出し、プーチン大統領にも被害状況などについて報告したとコメントした。